晩春の季語 都忘れ
「都忘れ」とは、キク科シオン属ミヤマヨメナの園芸品種で、4月から6月頃に紫・桃・白などの花を咲かせる。野生種のミヤマヨメナ(深山嫁菜:別名に野春菊)は本州から九州に自生し、栽培され始めたのは江戸時代からだと考えられている。
「都忘れ」は不稔性で、株分けによって増殖させる。
「都忘れ」の名は、承久の乱の後に佐渡に流された順徳天皇が、この花を愛でながら都を忘れようとしたところから来ている。その順徳天皇の和歌に、
いかにして契りおきけん白菊を 都忘れと名付くるも憂し
がある。乱の中心人物であり、父である後鳥羽上皇が好んだ白菊への、複雑な感情が表れている。
【都忘れの俳句】
雑草園都忘れは淡き色 高浜年尾