三春の季語 浅蜊
「浅蜊」はマルスダレガイ科アサリ属の二枚貝の総称で、アサリやヒメアサリを指す。塩分が薄い砂浜の浅いところに生息する。
貝殻には様々な色があり、同じ模様を持ったものはないとも言われる。
浅蜊を中心とした貝を遠浅の砂浜で採る「潮干狩」は春の季語になっており、特に旧暦三月三日の大潮は一年で最も干満差が激しくなり、はるか沖まで行って貝を採ることができる。浅蜊はこの時期、産卵を控えて旨みが増す。
浅蜊は、古代から重要な食材であったと考えられており、貝塚などから夥しい数の貝殻が出土している。浅蜊汁や浅蜊飯など、現代でも様々な形で調理される。しかし、海底ではほとんど移動しないため、有毒プランクトンを食べ続けて貝毒に汚染される危険性が高い貝でもある。
「あさり」は、砂に棲む貝を指す「砂利(さり)」と「浅い」が結びついたものだとの説がある。つまり、浅蜊とは、浅いところに棲む貝という意味である。「漁る」は、浅蜊採りが語源になっているとの説があるが、逆に「漁る」が浅蜊の語源であるとの説もある。