仲夏の季語 アマリリス
ヒガンバナ科ヒッペアストラム属の植物の総称。多年草で、冬には枯れて地上部がなくなる。中南米原産で、4月から6月頃、百合に似た白・赤・ピンク・黄色などの花を咲かせる。
ただし本来のアマリリスは、南アフリカ原産のヒガンバナ科ホンアマリリス属の「ベラドンナ」である。ヒッペアストラム属のアマリリスは開花時に葉があるのに対し、ベラドンナは葉をつけない。こちらは初秋に花を咲かせるので、夏の季語となる「アマリリス」の範疇からは外れてしまう。
ヒッペアストラム属の「アマリリス」は、 江戸時代末期(天保年間)に3種が渡来しており、金山慈姑(きんさんじこ)・咬吧水仙(じゃがたらずいせん)・紅筋山慈姑(べにすじさんじこ)の名がついた。
アマリリスとは、ギリシャ神話に出てくる羊飼いの少女の名前で、少年アルテオの心を射止めるために、自らの血で咲かせた花を贈ったという。
1968年2月にNHK「みんなのうた」で紹介された楽曲に「アマリリス」があるが、これはフランス国王ルイ13世が作ったとされる楽曲「アマリリス」を元にしている。
【アマリリスの俳句】
病室の隅の未明やアマリリス 石田波郷
ウエートレス昼間は眠しアマリリス 日野草城