季語|大根(だいこん・だいこ・おおね)

三冬の季語 大根

大根引(だいこんひき・だいこひき)

季語と俳句(浪花自慢名物尽天満大根)アブラナ科ダイコン属の越年草で、原産地は中東とされる。食用とする根は年中収穫されるが、最も収穫が多いのは冬で、冬の季語となっている。ただし、「すずしろ」は大根の古名であり、こちらは春の七草として新春の季語に分類される。
日本で栽培されるもののほとんどは青首大根であるが、その他にも、練馬大根に代表される白首大根、蕎麦の薬味に使われる辛味大根、世界一の大きさを誇る桜島大根などがある。
根は野菜の代表種でもあり、生食されたり加熱調理したり、様々なかたちで食されるが、その葉もまた食用にされる。「大根葉」という季語は現在のところ見当たらないが、虚子に「流れ行く大根の葉の早さかな」という句があるように、「大根」に付随する形で、概して冬を表す。

日本人と大根とのつきあいは古く、仁徳天皇陵から大根の種子が発見されている。古事記ではその仁徳天皇記に、「志都歌の歌ひ返し」という一連の歌があり、仁徳天皇が嫉妬する皇后に向けて歌った2歌の中に「おほね」として出て来る。どちらも「つぎねふ山代女の木钁持ち打ちし大根」の歌い出しで詠まれ、はじめの歌は大根を女性の白い腕に見立てている。
このように古くは、その根の大きさから「おほね(おおね)」と言っていたが、室町時代あたりより「だいこん」と呼ぶようになった。
俳諧歳時記栞草に「大根」の項目はないが、「大根引(だいこひく)」は掲載されている。貞享式の引用で「大根引、此詞は冬の当用なり。大根(だいこ)と略して音語によむべし。京家のおほね引に効ふべからず」とある。

大根は、ジアスターゼを多く含み、消化を助ける効果がある。そのため食当たりすることがないので、何をやっても当たらない役者を「大根役者」と呼ぶ。
また上記のように、すらりとした女性の美しい腕を大根に喩えていた時代もあるようだが、現在では「大根足」のような使い方をする。

【大根の俳句】

大根引き大根で道を教えけり  小林一茶
引きすすむ大根の葉のあらしかな  加舎白雄

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