富士山の御当地季語
初富士(新春の季語)元旦に富士山を眺めること。
春の富士(春の季語)雪がまだ残る春に見る富士山のこと。
富士の雪解(夏の季語)5月になると富士山も雪解けがすすみ、6月になると麓からは雪は見えなくなってくる。
五月富士(夏の季語)陰暦5月の富士山。梅雨に入り、雪も消える。
夏富士(夏の季語)夏の富士山。
赤富士(夏の季語)晩夏になると、東京方面から見る朝の富士山は赤く染まって見える。葛飾北斎が描いた「富嶽三十六景」の「凱風快晴」と題する赤富士は有名。
富士垢離(夏の季語)富士講の修験者が、富士山に登る前に行う水垢離。
富士詣(夏の季語)陰暦6月1日から6月21日の間に、富士講をつくり富士山頂の富士権現社に参詣することを言った。
駒込富士詣(夏の季語)6月30日から7月2日にかけて行われる東京の駒込富士神社の山開き。かつては土産の駒込茄子が名物で、周辺に鷹匠屋敷があった。「一富士二鷹三茄子」は、川柳「駒込は一富士二鷹三茄子」から広がっていったと言われている。
浅草富士詣(夏の季語)7月1日に、富士山の山開きに合わせて浅草浅間神社の例大祭が行われる。
富士の山洗(秋の季語)富士山麓で富士閉山の陰暦7月26日に降る雨。
富士の初雪(秋の季語)平年では9月中旬に雪が降る。
富士の笠雲(冬の季語)強い風が富士山にぶつかる時にできる笠のような雲で、笠雲が現れると天気が崩れる。
富士薊(冬の季語)キク科アザミ属の多年草。富士山周辺に多い。
富士山を詠んだ俳句
初富士にかくすべき身もなかりけり 中村汀女「都鳥」(1951年)所収。
菜の花のとつぱづれなり富士の山 小林一茶文化9年(1812年)の「七番日記」に載る。
不二ひとつうづみ残して若葉かな 与謝蕪村明和6年4月10日(1769年5月15日)の句。
目にかかる時やことさら五月富士 松尾芭蕉「芭蕉翁行状記」に載る芭蕉最晩年(1694年)の句。
霧しぐれ富士をみぬ日ぞ面白き 松尾芭蕉「野ざらし紀行」に載る1684年の句。雨の箱根で詠まれた。
によつぽりと秋の空なる富士の山 上島鬼貫「大悟物狂」(1690年)にある、富士山を見てみたいと言っていた友に捧げた句。
この道の富士になり行く芒かな 河東碧梧桐明治34年(1901年)の「ホトトギス」9月号に掲載された俳句。