兵庫県の季語と俳句

兵庫県内 俳句の舞台となった旅館

城崎温泉 ゆとうや旅館

二千坪の日本庭園を有する「ゆとうや旅館」は、文人墨客が多く訪れる旅館でもあり、館内にはゆかりの品々のミニギャラリーを常設している。但馬倦鳥句会会員であった当主の関係で、度々句会も開催されたことから、松瀬青々らが俳句を残している。館内にある青々の句碑「一の湯の上に眺むる花の雨」は、青々本人の揮毫である。

兵庫県の御当地季語

西宮の居籠(新春の季語)
1月10日の西宮神社の十日戎に、9日の朝から夜中にかけて家にこもること。

亥巳籠(新春の季語)
旧暦正月明けの亥の日から巳の日まで日岡神社で行われる神事。

摩耶詣(春の季語)
3月末に摩耶山天上寺に詣でること。

行基詣(春の季語)
4月2日に、行基が開山した崑崙山昆陽寺に詣でること。

須磨の御禊(春の季語)
中国の習俗をもとに、光源氏が三月上巳の日に、須磨で祓を行なったという源氏物語の件から来た季語。

高砂飯蛸(春の季語)
播州高砂(高砂市)の飯蛸。

有馬蘭(夏の季語)
有馬温泉周辺に産する蘭。

楠公祭(夏の季語)
5月25日に湊川神社で行われる祭祀。

鳴門柑(夏の季語)
淡路島特産の鳴門オレンジ。阿波蜜柑とも呼ばれるが、徳島藩領だった頃の名残。

義士会(冬の季語)
12月14日に赤穂浪士が吉良上野介を討ち取ったことから、この日各地で、赤穂義士を偲ぶ会が催される。赤穂市では、赤穂義士祭が開催される。

兵庫県を詠んだ俳句

かたつぶり角振り分けよ須磨明石 松尾芭蕉
「猿蓑」所収の、1688年の句。

菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村
「続明烏」(高井几董1776年)の春興廿六句にある。摩耶山の旧暦3月23日の景。

春の海ひねもすのたりのたりかな 与謝蕪村
俳諧古選(三宅嘯山編1763年)所収。誹諧金花伝(柏屋喜兵衛編1773年)には、「すまの浦にて」の前書きがある。

読みさして月が出るなり須磨の巻 正岡子規
1895年、従軍記者として遼東半島に渡ったものの、帰国の船中で喀血し、神戸病院に入院。その時の俳句。

こんなよい月を一人で見て寝る 尾崎放哉
「大空」(1926年)所収。1924年、須磨寺大師堂の堂守となった頃の俳句。

ご当地季語と御当地俳句