京都府内 俳句の舞台となった旅館
ウェスティン都ホテル京都京都の迎賓館とも呼ばれる「ウェスティン都ホテル京都」は、「ミヤコホテル論争」を巻き起こしたことで有名。これは、昭和9年に日野草城が発表した「ミヤコホテル」に関わるもので、「けふよりの妻と来て泊つる宵の春」「をみなとはかかるものかも春の闇」「失ひしものを憶へリ花曇」など、エロスを主題とした10句から成っている。殿村菟絲子は、夫が都ホテルで倒れて「一夜のみ生きて手つなぐ春の雁」と詠んでいる。
京都府の御当地季語
白朮詣(新春の季語)八坂神社で元日午前5時から行われる白朮祭で、「をけら灯籠」の火を火縄に受けて帰り火種とすること。
稲荷の奉射祭(新春の季語)1月12日に伏見稲荷大社で行われる弓矢による神事。
清水の牛王(新春の季語)1月7日に清水寺の行事。本尊が開帳され、本尊後背の堂内を柳の杖で打つ。
厄神詣(新春の季語)石清水八幡宮境内の疫神に、1月19日に参詣すること。
裏白連歌(新春の季語)室町時代の末から江戸時代にかけて、正月三日に京都北野神社で行われた百韻連歌。
柞の森の居籠(新春の季語)初申の日から三日間行われる祝園神社の奇祭。
稲荷の大山祭(新春の季語)1月5日の伏見稲荷大社の祭事。御饌石に中汲酒を盛った斎土器を供え、五穀豊穣を祈る。
天狗の宴(新春の季語)かつて愛宕寺で行われていた牛王加治の酒盛のこと。
東本願寺修正会(新春の季語)1月1日から3日まで、東本願寺で行われる法要。
空也堂鉢叩出初(新春の季語)1月11日に紫雲山極楽院光勝寺の空也堂で行われる行事。
北野筆始め(新春の季語)1月2日から4日まで北野天満宮で行われる書道の上達を願う行事。
三十三間堂の揚枝浄水加持(新春の季語)三十三間堂で、1月9日から7日間法会を修し、結願の15日に浄水を参詣者に施す。
東本願寺献盃式(新春の季語)元日に東本願寺において、親鸞上人の廚子を法主が開扉し、屠蘇酒を供える儀式。
上賀茂御棚飾(新春の季語)1月14日に上賀茂神社で行なわれる神事。
上賀茂燃灯祭(新春の季語)上賀茂神社で、2月の2番目の子の日に行われる祭事。
初愛宕(新春の季語)1月24日に火伏の神である京都愛宕神社に参詣に行くこと。
懸想文売(新春の季語)正月初めに懸想文を結びつけた梅の小枝を売り歩き良縁を占った。廃れていたが須賀神社で復活した。
京若菜(新春の季語)七草粥に入れる春の七草の総称。
稲荷祭(春の季語)4月20日最寄の日曜日から5月3日に行われる伏見稲荷大社の最も重要な祭儀。
松尾祭御出(春の季語)4月20日以降の日曜日に行われる松尾大社の祭礼で神幸祭という。21日後に還幸祭がある。
大原野祭(春の季語)4月8日に行われる大原野神社の祭礼。大原祭。
嵯峨大念仏(春の季語)4月中に清凉寺で行われる狂言で、京の三大念仏狂言のひとつとして知られる。
壬生念仏(春の季語)4月21日から29日まで、壬生寺で行われる念仏法会。壬生狂言が催される。
千本念仏(春の季語)5月1日から4日まで行われる、引接寺千本閻魔堂での念仏法会。閻魔堂狂言ともいう。
やすらゐまつり(春の季語)4月第2日曜日に行われる今宮神社の大祭。疫病の流行により、平安時代に始まった。花の霊を鎮め、無病息災を祈願したのが祭りの起こり。
都をどり(春の季語)4月1日から30日にかけて祇園甲部歌舞練場で開催される祇園甲部の舞踊公演。
鴨川をどり(春の季語)5月1日から24日にかけて先斗町歌舞練場で上演される、芸妓・舞妓による舞踊公演。
島原の太夫の道中(春の季語)4月第2日曜日に、吉野太夫を偲ぶ催しが常照寺で催される。
鞍馬の花供養(春の季語)4月中旬に15日間開催される鞍馬寺の法要。
遺教経会(春の季語)3月22日に千本釈迦堂で行われる涅槃会。
十三詣(春の季語)3月13日から5月13日までの間に、数え年で13歳になった男女が、健康を願い法輪寺に参詣すること。
仁王会(春の季語)2月23日に醍醐寺で行われる法要。
御身拭(春の季語)4月19日に行われる清涼寺の大法要。
八幡初卯神楽(春の季語)八幡大神が初めて豊前国宇佐に顕現された縁日の旧暦2月初卯の日に、石清水八幡宮で御神楽が奏される秘祭。
園韓神祭(春の季語)平安京宮内省内にまつられていた園神と韓神との祭り。
北野菜種御供(春の季語)菅原道真の忌日である2月25日の北野天満宮の祭礼。
東福寺懴法(春の季語)2月の初午に、東福寺で行なわれる懺法。
嵯峨の柱炬(春の季語)3月15日に清涼寺釈迦堂で行なわれる火祭り。
京雛(春の季語)京都で作られる雛人形。目は細めで、向かって右側に殿様が座す。
京菜(春の季語)水菜のこと。京都が原産であるため、「京菜」ともいう。
壬生菜(春の季語)水菜の一品種。京都の壬生地区で盛んに栽培されたことから「壬生菜」の名がついた。
花菜漬(春の季語)開ききらない菜の花を摘んで塩漬にした漬物で、京都の名産。
今宮祭(夏の季語)5月5日から15日に行われる今宮神社の祭礼。
貴船祭(夏の季語)6月1日に行われる貴船神社の例祭。
三船祭(夏の季語)5月第3日曜日に行われる車折神社の祭礼。平安の船遊びを再現。
祗園会(夏の季語)7月1日から31日に行われる八坂神社の祭礼。山鉾巡行が盛大に行われる。祗園祭。
藤森祭(夏の季語)5月5日に行われる藤森神社の祭礼。
地主祭(夏の季語)5月5日に行われる清水寺境内の地主権現の祭礼。
賀茂祭(夏の季語)5月15日に賀茂御祖神社と賀茂別雷神社で行なわれる葵祭。
八瀬祭(夏の季語)5月8日に行われる八瀬天満宮の祭礼。
御霊祭(夏の季語)5月1日から18日に行われる上御霊神社と下御霊神社の祭礼。
山崎祭(夏の季語)5月4日から5日に行われる酒解神社の祭礼。
神泉苑祭(夏の季語)5月3日に行われる神泉苑の善女龍王社の祭礼。
相国寺懺法(夏の季語)6月17日に行われる相国寺の観音懺法。
賀茂の競馬(夏の季語)5月5日に上賀茂神社で行われる競馬神事。
賀茂の水無月祓(夏の季語)6月30日に上賀茂神社で行われる夏越の祓。
鞍馬の竹伐(夏の季語)6月20日の鞍馬寺の行事。青竹を大蛇になぞらえ、竹を伐る速さを競う。
愛宕の千日詣(夏の季語)7月31日の夜から8月1日早朝にかけて、火伏せの神である愛宕神社に参拝すると、千日分の御利益がある。
橋立祭(夏の季語)7月24日に宮津市の智恩寺で行われる祭り。天橋立祭。
大原志(夏の季語)5月3日に、福知山市の大原神社の大祭に参拝すること。
四条涼み(夏の季語)陰暦6月7日から18日まで、四条川原を中心に行なわれた夕涼みの行事。
祭鱧(夏の季語)祇園祭の頃の鱧。このころ京都では、ハモ料理で客人をもてなした。
大徳寺納豆(夏の季語)大徳寺門前で生産されている納豆。納豆菌ではなく麹菌を使用して発酵させ、古来の製法で製造される。
都草(夏の季語)マメ科の多年草。エボシグサ。京都に多く見られたために名がついた。
京団扇(夏の季語)「都うちわ」「御所うちわ」とも呼ばれ、豪華な装飾が特徴。
北野祭(秋の季語)8月4日に行われる北野天満宮の例祭。
淀祭(秋の季語)11月3日に行われる與杼神社の大祭。
岡崎祭(秋の季語)10月16日に行われる岡崎神社の祭礼。
時代祭(秋の季語)10月22日の平安神宮の例大祭に伴い行われる風俗行列。京都三大祭りの一つ。
恵美須祭(秋の季語)10月20日に京都ゑびす神社で行われる「二十日ゑびす大祭」。
鳴瀧祭(秋の季語)10月第3日曜に福王寺神社で行われる祭礼。
大文字(秋の季語)8月16日に大文字山などで行われるかがり火で、「五山送り火」のこと。
豊国神社祭(秋の季語)9月18日に豊国神社で行われる例大祭。
太秦の牛祭(秋の季語)10月10日に広隆寺境内の大避神社で行われる京都三大奇祭の一つ。
清水千日詣(秋の季語)8月9日から16日の間に清水寺に参拝すると、千日参拝するのと同じ御利益がある。
鞍馬の火祭(秋の季語)10月22日に由岐神社で行われる京都三大奇祭の一つ。
白川祭(秋の季語)10月6日に北白川天満宮で行われる祭礼。
城南祭(秋の季語)10月第3日曜日に真幡寸神社で行われる祭礼。
伏見三栖祭(秋の季語)10月に三栖神社で行われる火祭り。
西院祭(秋の季語)10月第2日曜日に西院春日神社で行われる祭礼。春日祭ともいう。
御香宮祭(秋の季語)10月第2日曜日に御香宮神社で行われる祭礼。伏見祭ともいう。
北野瑞饋祭(秋の季語)10月1日から5日に北野天満宮で行われる例祭。
北野御手水(秋の季語)7月7日に北野天満宮で行われる七夕神事。
松尾神事相撲(秋の季語)9月第1日曜日に松尾大社で行われる八朔相撲。
六道参(秋の季語)8月7日から10日に六道珍皇寺に参詣すること。
泉涌寺舎利会(秋の季語)10月7日から8日に泉涌寺で行われる仏舎利を拝す法要。
粟田神社祭(秋の季語)10月15日に粟田神社で行われる例大祭。
野の宮の別(秋の季語)斎宮になるために、仮御殿である野の宮から出て、天皇に別れを告げること。10月第3日曜に野宮神社で祭礼がある。
梶鞠(秋の季語)七夕に白峯神宮で、飛鳥井・難波流が主催して行われる蹴鞠会。
明恵上人献茶式(秋の季語)11月8日に高山寺で、茶祖・明恵上人の像の前に茶を献ずる行事。
奉灯会(秋の季語)8月20日に大覚寺で営まれる弘法大師忌前夜の法要。
薪寺の虫干(秋の季語)8月15日から16日に酬恩庵で行われる虫干。
木幡祭(秋の季語)11月3日に宇治市の許波多神社で行われる祭礼。
仙翁花(秋の季語)ナデシコ科の多年草。仙翁寺に咲いていたために名がついた。
貴船菊(秋の季語)キンポウゲ科の多年草で、秋明菊の異名。貴船山に多いために名がついた。
鹿ケ谷南瓜(秋の季語)鹿ケ谷で生産されはじめたヒョウタン形の南瓜。
丹波栗(秋の季語)丹波・篠山地方で栽培される和栗の総称。代表品種は銀寄。
吉田清祓(冬の季語)2月2日から4日に吉田神社で行われる疫神祓。
鳴滝の大根焚(冬の季語)12月9日から10日に了徳寺で大根が振舞われる。
西本願寺報恩講(冬の季語)1月9日から16日に西本願寺で行われる親鸞上人の命日の法要。
五条天神参(冬の季語)節分に五條天神社に参拝すること。
茗荷祭(冬の季語)2月3日に綾部市の阿須々伎神社で行われる祭礼。
誓文払(冬の季語)陰暦10月20日に、商人は四条京極の官者殿に参詣し、客を欺いた罪を払う習慣があり、罪ほろぼしに安売りをした。
大原雑魚寝(冬の季語)節分の夜、江文神社で雑魚寝した風習。
千枚漬(冬の季語)薄切りにした蕪を酢漬けにした漬物で、京都名物。
酢茎(冬の季語)酢茎菜の漬物で、上賀茂地方の特産。
京都府を詠んだ俳句
わがきぬにふしみの桃の雫せよ 松尾芭蕉「野ざらし紀行」に、「伏見西岸寺任口上人に逢て」の前書きとともに掲載された句。貞享2年(1685年)春。
柿主や梢はちかきあらし山 向井去来「猿蓑」(向井去来・野沢凡兆編1691年)に「自題落柿舎」の前書きで収録。去来の草庵を「落柿舎」と名付ける由来となった句。
夏河を越すうれしさよ手に草履 与謝蕪村蕪村句集に「丹波の加悦といふ所にて」の前書きがあるが、丹波の誤記で、現在の与謝郡与謝野町で詠まれた。1755年前後の句。
水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首 阿波野青畝「春の鳶」(1952年)所収の1950年の俳句。
けふよりの妻と来て泊つる宵の春 日野草城1934年に「ミヤコホテル」として発表した10句のひとつで、ミヤコホテル論争を巻き起こした。「ミヤコホテル」とは、現在の「ウェスティン都ホテル京都」である。