三重県の季語と俳句

三重県内 俳句の舞台となった旅館

志摩観光ホテル ザ クラシック

「華麗なる一族」の舞台であり、2016年に伊勢志摩サミットが開催された伊勢志摩を代表するこのホテルは、山口誓子が伊勢を訪れるたびに宿泊したホテルである。ホテルの庭には、誓子の「高き屋に島の横崎雲の峰」の句碑がある。また、久米三汀の「島々に島々かくれ春の暮」の句碑もある。さらには、昭和天皇の御製「色づきしさるとりいばらそよごの実 目に美しきこの賢島」も歌碑となっている。

三重県の御当地季語

初伊勢(新春の季語)
伊勢神宮に初詣すること。

伊勢暦(新春の季語)
江戸時代に、伊勢神宮の門前町の暦師が頒布していた暦。神宮暦の前身である。

伊勢海老(新春の季語)
古くから伊勢の名物であったため「伊勢海老」の名が定着している。正月飾りにかかせない。

獅子頭の神事(新春の季語)
旧暦の小正月に、伊勢市周辺で行われる獅子舞。

伊勢参(春の季語)
特に江戸時代には、一生に一度は伊勢参りをするものだという通念が生まれ、伊勢神宮への参拝が盛んになった。気候の良さから参拝者が増加する、春の季語となっている。

桑名祭(夏の季語)
8月第1土曜日曜日に開催される春日神社の祭礼で、石取祭とも呼び、ユネスコの無形文化遺産に登録されている。

伊勢のお田植(夏の季語)
伊勢神宮の神田の田植。伊勢市楠部町家田では、「神田御田植初」とも呼び、5月上旬に行われる。

伊勢神御衣祭(夏の季語)
5月14日と10月14日に、伊勢神宮(皇大神宮・荒祭宮)で天照大神に神御衣を奉る行事であるが、5月14日の伊勢神御衣祭が夏の季語となっている。

神嘗祭(秋の季語)
10月17日に伊勢神宮で執り行われる五穀豊穣の感謝祭。1947年までは祝祭日であった。

伊勢御遷宮(秋の季語)
伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮。第62回は平成25年に行われた。

伊勢奉幣(秋の季語)
伊勢神宮の神嘗祭の前に、朝廷から幣物を奉られる儀式。

阿濃津八幡祭(秋の季語)
10月15日に、津市の阿濃津神社で行なわれる祭礼。

山田のつと入(秋の季語)
現在の伊勢市周辺では、陰暦7月16日に限り、他人の家に上がり込んで好きなものを見てよいという風習があった。明治になってなくなった。

大神宮札配(冬の季語)
正月を迎える前に、伊勢神宮の神宮大麻が日本全国の神社を通して配られる。

斎宮絵馬(冬の季語)
陰暦の除夜に伊勢の斎宮旧趾絵馬殿で行なわれていた行事で、謡曲「絵馬」にも歌われた。

三重県を詠んだ俳句

蓬莱に聞ばや伊勢の初だより 松尾芭蕉
元禄7年(1694年)の歳旦句。「炭俵」(1694年)所収。「蓬莱」とは、正月の蓬莱飾りのこと。

一里はみな花守の子孫かや 松尾芭蕉
「猿蓑」(1691年)所収。「いがの国花垣の庄は、そのかみ南良の八重桜の料に附られけると、云伝えはんべれば、」の詞書がある、現在の上野市予野で詠まれた句。

蛤のふたみへ別れ行く秋ぞ 松尾芭蕉
1689年(元禄2年)の「おくのほそ道」の最後の句。9月6日(新暦10月18日)、伊勢神宮の遷宮を拝むために滞在した、大垣(岐阜県)で詠まれた。「ふたみ」は、「二見浦」と蛤の「蓋身」が掛けられている。

海に出て木枯らし帰るところなし 山口誓子
「遠星」(1947年)所収。1944年11月19日、療養先の伊勢富田(現三重県四日市市)で詠まれた俳句。特攻隊の片道飛行を念頭に置いた俳句である。

蛍獲て少年の指緑なり 山口誓子
「青女」(1950年)所収。現在の四日市市で詠まれた俳句。