松瀬青々 ●
太箸のまろびよりけり歯朶の上 季杉箸ではさみし結昆布かな 季初夢の吉に疑無かりけり 季日盛りに蝶のふれ合ふ音すなり 季暁をさへぎるものや桐の花 季梟なく夜のおもしろや玉子酒 季春近き雪よ霞よ淀の橋 季雪解の山べの濁り井に来る 季桃の花を満面に見る女かな 季一の湯の上に眺むる花の雨 季月見して如来の月光三昧や 季甘酒屋打出の浜におろしけり 季花大根遊女の塚を並べけり 季さらし井や糸瓜の花に水を打つ 季太祇忌やただ島原と聞くばかり 季葛城や綿の花さく一日路 季甘干に軒も余さず詩仙堂 季妹が宿菊の枕をつくりけり 季夜着の中此夜ぬくうも思ひつぐ 季達磨忌の障子明けたり茶の木原 季負ふた子や通草の花に手をのべる 季函根籠桜うぐひの一トならべ 季春の門鷽鳴きやんで夜と成ぬ 季氷魚くへば瀬々の網代木見たきかな 季
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