俳句

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波多野爽波 

チューリップ花びら外れかけてをり 
大根の花や青空色足らぬ 
海女たちに茅花の風の冷えてきし 
種採るや洗ひざらしのものを着て 
自転車の灯のはづみくる虫の原 
船あしをゆるめ近づく島紅葉 
冬空や猫塀づたひどこへもゆける 
毛絲編む一つ想ひを追ひつづけ 
鶴凍てて花の如きを糞りにけり 
金魚玉とり落しなば鋪道の花 
炬燵出て歩いてゆけば嵐山 
骰子の一の目赤し春の山 
鳥の巣に鳥が入つてゆくところ 
あかあかと屏風の裾の忘れもの