俳句

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野村朱鱗洞 

淋しき花があれば蝶蝶は寄りて行きけり 
風ひそひそ柿の葉落としゆく月夜 
小さき火に炭起し話し暮れてをり 
いち早く枯れる草なれば実を結ぶ 
するする陽がしずむ海のかなたの國へ 
繚乱の花のはるひをふらせる 
かがやきのきはみしら波うち返し 
早う日かげる家なればつくつくほうし 
しくしくと蝉鳴き暮の雨光る 
かまどの火に寄れば幼き日に燃ゆる 
舟をのぼれば島人の墓が見えわたり 
いつまで枯れてある草なるぞ火を焚くよ 
あかつきかけて雪消す雨のそそぎ居り 
人の前にて伸べし手のかばかりに汚れ 
いと高き木が一つさやぎやまぬかな 
ふうりんにさびしいかぜながれゆく 
若葉冷えゆく星の光なり 
風を青み野をはろばろと林あり 
かそけき月のかげつくりゆく蟲の音よ 
わが淋しき日にそだちゆく秋芽かな 
よさめよさめ餘所の町の灯に仰ぐ