落葉 click ⇒ ≪解説≫
わが歩む落葉の音のあるばかり 杉田久女落葉明りに岩波文庫もう読めぬ 安住敦落葉踏む音にそばだて木々の耳 藤井亘橡落葉して橡の実の落ちてゐず 茨木和生銀杏落葉一枚咬みて酒場の扉 土生重次葉を落しつくしたる木のやすらげる 加藤鎮司桐の葉のもろくも遅き落葉哉 野沢凡兆落葉して木々りんりんと新しや 西東三鬼街路樹の夜も落葉をいそぐなり 高野素十岨行けば音空を行く落葉かな 炭太祇白日はわが霊なりし落葉かな 渡辺水巴庭にさへさぞな落葉は東山 野々口立圃白水のながれも寒き落葉哉 直江木導桐の木の風にかまはぬ落葉哉 野沢凡兆風に落葉将棊だふしぞきんかくじ 高瀬梅盛朝濡るる落葉の径はひとり行かな 長谷川素逝明日は発つこころ落葉を手に拾ふ 長谷川素逝吹かれゆく心落葉の風の中 長谷川素逝ふきまろぶ落葉にしかと大地あり 長谷川素逝たまさかの落葉の音のあるばかり 長谷川素逝なほ暮れて落葉おのおの土の上 長谷川素逝土と暮れ落葉は闇にもどりけり 長谷川素逝満月に落葉を終る欅あり 大峯あきら我庵は榎ばかりの落葉哉 三浦樗良
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