俳句

夢に見れば死もなつかしや冬木風

ゆめにみれば しもなつかしや ふゆきかぜ

夢に見れば死もなつかしや冬木風「定本木歩句集」所収の富田木歩大正8年(1919年)の俳句。「亡き人々を夢に見て」の前書きがある。
亡き人々とは、木歩の弟の利助と泳ぎに行って大正6年に水死した弟子の波王、大正7年に結核で亡くなった利助と妹のまき子ら。前年末、結核で木歩も床に伏し、病状が改善した頃の俳句。
「冬木風」は、江宮隆之による富田木歩の伝記のタイトルともなっている。


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三囲神社の句碑(東京都墨田区)

夢に見れば死もなつかしや冬木風関東大震災で横死した木歩を偲び、その一周忌に、師の臼田亞浪が中心となり、有志60人の出資を募り、1924年9月14日に建立。碑陰に「大正拾参年九月一日の一周年に於て富田木歩君慰霊乃為建之 友人一同 亜浪書」。臼田亞浪の筆によるものである。当初は三囲神社の正面鳥居の椎の木の下に建てられ、木歩の兄金太郎・姉富子・妹静子らも出席して除幕式が行われた。現在は本殿裏に移されている。

三囲神社は、宝井其角雨乞の句や、三井家の守護神として有名な神社。木歩はこの近くで生まれ、ほど近い枕橋のたもとが終焉の地となっている。

【撮影日:2019年11月4日】

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