いきながら ひとつにこおる なまこかな
元禄6年(1693年)の松尾芭蕉の歌仙の発句。脇は、岱水が「ほどけば匂ふ寒菊のこも」と付けた。「続別座敷集」(子珊1699年)の「氷」の項に分類される。歌仙は「木曽谷」(岱水1704年)に。
岱水は芭蕉門下の俳人で、芭蕉庵の近くに住み、しばしば芭蕉と歌仙を巻いた。
調理されるために、桶の中に入れられた数匹の海鼠。その海鼠が、冷水の中で寄り固まって縮んでいるのだろうが、それを「一つに冰る」と表現している。やがて人間に食われる運命にあることを海鼠は知る由もないだろうが、上五の「生きながら」が効いて、定めの中に生きる生物の「あはれ」が浮き立つ句となっている。
「続別座敷集」では「氷」に分類されているが、現代では季語を海鼠と捉え、「海鼠」に分類することが多い。
▶ 松尾芭蕉の句
【中古】 校本芭蕉全集 第9巻 / 松尾芭蕉 / KADOKAWA [単行本(ソフトカバー)]【メール便送料無料】49284円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可【メール便送料無料、通常24時間以内出荷】 【古本倶楽部 楽天市場店】