俳句

さみだれのあまだればかり浮御堂

さみだれの あまだればかり うきみどう

大正13年、阿波野青畝の俳句。昭和6年、高浜虚子選の「日本新名勝俳句」で風景賞を得た。昭和6年刊行「萬両」収録。
松尾芭蕉の「鎖あけて月さし入れよ浮御堂」「五月雨の降り残してや光堂」を下地とする。浮御堂は、近江八景「堅田の落雁」で名高い大津の名所。
川島由紀子著「阿波野青畝への旅」プロローグに

大津市本堅田の浮御堂の山門を入るとすぐにこの句碑がある。子育て中近くに住んでいた私は、小児科通いのたびによく前を通った。自転車を漕ぎながら、「さみだれのあまだればかり…」と声に出してみれば、濁音とア音が響き、心地よいリズム。五月雨と言えば、梅雨の鬱陶しい雨のことだが、この句では明るい雨のように感じられるのは、ア音が響くせいだろう。近江八景の中の「堅田の落雁」に描かれている雅な浮御堂に、俗な雨だれを取り合わせ、明るい雨の中ちょっとユーモラスでもある。
句碑では漢字表記になっているが、平仮名表記にすれば一文字一文字が雨粒のようにも感じられる。雨の日に行ってみると、寄棟の屋根の浮御堂は樋がないので、屋根から四方の湖面に直接雨だれがぽたぽた落ちていた。

▶ 阿波野青畝の俳句



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