阿波野青畝 ●
牡丹百二百三百門一つ 季 (紅葉の賀)山又山山桜又山桜 季 (甲子園)さみだれのあまだればかり浮御堂 季 (萬両)●冬ざれや家根に煙出しのないがしろ 季秋雨や山あきらかに京の町 季生駒より峰山高し麦刈れば 季石に狂うて深き轍や末がるる 季汝の年酒一升一升又一升 季巣ごもりの母鳥ひもじからざるや 季桜貝二枚の羽を合せけり 季思川白きもの立て夏祓 季来しかたをかくもてらてらなめくぢら 季水澄みて金閣の金さしにけり 季赤い羽根つけらるる待つ息とめて 季磔像と数千万の霜柱 季猟の沼板の如くに轟けり 季このあたりにほふ艾や寒詣 季丹頂の相寄らずして凍てにけり 季鴛鴦に月のひかりのかぶさり来 季元日の田ごとの畦の静かな 季福笑大いなる手に抑へられ 季乱心のごとき真夏の蝶を見よ 季猿酒かかんばせを打つ滴あり 季探梅やみささぎどころたもとほり 季水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首 季朝夕がどかとよろしき残暑かな 季伐口の大円盤や山笑ふ 季春一や列島藻塩まぶれとす 季鳥雲に入り畢んぬと倚る柱 季閑居とはへつつひ猫の居るばかり 季鰤起し杉山檜山色褪せぬ 季若水に奈良井の宿の杓卸す 季お火焚に逆立つ狐灯りけり 季猟犬を妬み番犬よく吠ゆる 季磨崖仏をば舐めまはる鹿の子かな 季敗戦といふ文字は古り鰻食ふ 季うたかたが粘る鰻の暑さかな 季花烏賊のいでゐる息の墨の泡 季葛城の山懐に寝釈迦かな 季ぺちやんこの財布で競馬賭けてゐし 季須磨の舟梅天に何漁るらむ 季茶屋の裏紺青にして夏の川 季眦を汗わたりゆく飴湯かな 季立待月咄すほどなくさしわたり 季古里にふたり揃ひて生身魂 季閑かさにひとりこぼれぬ黄楊の花 季わが旅路たばこの花に潮ぐもり 季ほころびの出来ゆく垣のむかごかな 季雪折の藪の離々たり不破の関 季神楽笛おこりし森のたたずまひ 季手すさびに尼のつくろふ垣根かな 季をととひや水の近江の畦塗れる 季百千鳥鳥居立たせる山路かな 季岸の人乗込み鮒と顔あはす 季山涼し都忘れと聞くからに 季尖る靴丸い靴など踏青す 季
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