俳句

季語|鵺(ぬえ)

三夏の季語 

虎鶫(とらつぐみ)・鵺鳥(ぬえどり)

鵺鵺は、トラツグミのことであるが、「ヒョーヒョー」と薄気味悪く鳴く声から、猿の顔、狸の胴体、虎の手足、蛇の尾を持つ想像上の生物をも生み出した。この想像上の生物は、平家物語の「鵺の事」に取材し、謡曲にもなっている。
古事記の八千矛の神の歌物語に、他の鳥と並んで「青山に鵼(ぬえ)は鳴きぬ」と出てくるところから、古くから鳥と認識されていたものと考えられる。万葉集には鵺鳥として6首に歌われ、「うらなけ」「片恋づま」「のどよふ」の枕詞となっている。柿本人麻呂には

久方の天の川原に鵺鳥の うら嘆けましつすべなきまでに

の和歌がある。
俳諧歳時記栞草(1851年)では、秋の部八月に分類されている。

トラツグミは、留鳥または漂鳥として周年生息する鳥で、北海道では夏鳥として見られる。山地の広葉樹林を棲み処とし、夏場に繁殖する。その独特の鳴き声は、雄の縄張り宣言であり、夜間に聞かれる。

【鵺の俳句】

頼政も鵺も昔の宿帳に  高浜虚子

【鵺の鳴き声】
鵺とも呼ばれるトラツグミは、体長30センチほどの鳥。夜間に気味悪く鳴くため、「幽霊鳥」とか「地獄鳥」と呼ばれることもある。(YouTube 動画)

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