三春の季語 亀鳴く
亀には声帯がないため、鳴くことはない。ただし、擦過音と呼ばれる呼吸音に近いものが、「クー」などと聞こえることがある。また、「シュー」と威嚇音を立てることも知られている。
歌人・俳人の空想を揶揄する時に取り上げられることもあるが、虫の声にしろ、その鳴き声は声帯に因るものではない。ただ、亀の場合は単なる活動音であるため、「表現」する手段ではないところがポイントか。
「亀鳴く」が定着したのは、夫木集にある藤原為家の
川ごしのをちの田中の夕闇に 何ぞと聞けば亀ぞなくなる
の和歌に因る。
余談ではあるが、ウミガメは産卵する時に涙を流すことが知られている。
【亀鳴くの俳句】
亀鳴くと嘘をつきなる俳人よ 村上鬼城