初春の季語 梅
白梅(しらうめ・はくばい)・紅梅(こうばい)・梅が香(うめがか)・春告草(はるつげぐさ)・風待草(かぜまちぐさ)・匂草(においぐさ)・花の兄(はなのあに)・好文木(こうぶんぼく)
バラ科サクラ属の落葉高木。梅の実は夏の季語になる。中国原産で、既に弥生時代の遺跡から梅の種子が見つかっているが、縄文時代の遺跡からは未検出。春一番に咲くことから、花の兄とも呼ばれる。拾遺和歌集の菅原道真公の歌は、梅をうたったものとして最も有名。
東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主なしとて春を忘るな
木の花(このはな)との呼び名もあるが、古来、桜と梅のあいだで論争がある。コノハナサクヤビメを祀る神社に京都の梅宮大社があり、その関係性が注目されるが、埋立地上にある宮として「うめみや」の名があるとの説もあり、「コノハナ=梅」の裏付けとはならない。コノハナサクヤビメが皇孫を生んだこと(ウム)から「ウメ」に関連付ける説もあるが、これも一般的ではない。梅の語源は中国語の「梅(メイ)」の転訛にあるのではないかと言われている。
ただ、万葉集には既に「うめ」として登場し、桜の3倍、119首も歌われている。この中には、天平2年の正月に大伴旅人邸の新年会で歌われた32首が含まれており、梅を歌うことがこの時代の流行だったことも伺われる。