俳句

季語|稲(いね)

三秋の季語 

稲穂(いなほ)稲田(いなだ)

稲の俳句と季語中国南部の長江下流域か、東南アジアが原産地とされるイネ科イネ属の植物「稲」。ジャポニカ種とインディカ種があり、日本で栽培されているのは、ほとんどがジャポニカ種。
小麦やトウモロコシとともに、世界三大穀物とされ、日本では、神話の昔から最も重要な供物・食物であった。それだけに、渡来した時期やルートについて熱く議論されている。以前は、弥生時代のはじまりとともに長江下流域から朝鮮半島を経て渡来したというのが定説だったが、近年の研究で、縄文時代から既に稲作は始まり、朝鮮半島よりも稲作の開始年代は早かったとの見方が強くなっている。

古くから生活に密接に結びついている作物だけに、その分類も多岐に渡る。水稲と陸稲による分類、早稲(わせ)中稲(なかて)晩稲(おくて)という早晩性による分類、白米・黒米・赤米といった色による分類などがある。
品種に至っては膨大な数にのぼり、品種改良により、日々その数を増している。大まかな分類では、コシヒカリなどに代表される一般的な食用種である「うるち米」、アミロースをほとんど含まない「もち米」、山田錦に代表される酒造用の「酒米」がある。

稲穂の時期は地方によって差があるが、概ね8月から10月。9月頃に黄金色に色づいてくる。ただし、南方の二期作を行う地方では、7月と11月に収穫を行うことがある。
穂が出て約40日で収穫期を迎える。

稲の語源には諸説あるが、日本では太古から神と結びついたものとして考えられており、命の元となる意の「息の根(いきのね)」が特に注目される。
「古事記」では、スサノオの項に挿話として稲の起源が記される。それによると、天を追われたスサノオが大気都比売(オオゲツヒメ)に食物を求めたところ、鼻口尻から取り出したために、怒って殺してしまった。その殺された大気都比売の目に、稲種が生ったとある。
万葉集には稲を歌ったものが10首あまり有り、詠み人知らずの和歌

おしていなと稲は搗かねど波の穂の いたぶらしもよ昨夜ひとり寝て

など、恋を歌うものが多い。
よく知られた慣用句には「実るほど頭を垂れる稲穂かな」がある。

【稲の俳句】

稲つけて馬が行くなり稲の中  正岡子規
一里行けば一里吹くなり稲の風  夏目漱石

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