俳句

季語|蛍(ほたる)

仲夏の季語 

ほたる蛍火(ほたるび)

蛍の俳句と季語(落合ほたる)中国では、草が腐って蛍になると言われており、腐草(くちくさ)とはホタルのことである。晋の政治家・車胤は、生家が貧しく、灯火の油が買えなかったので、蛍の光で書物を読んだ。このことは、雪明りで勉強した孫康とともに「蛍雪の功」の故事となり、日本では「蛍の光」の唱歌になった。

日本で主に見られる蛍は、ゲンジボタルとヘイケボタル。ゲンジボタルはヘイケボタルより大型で、5月から6月頃の清流で、光る様子が見られる。一方ヘイケボタルは、田圃など比較的身近なところで発生し、4月から10月頃見られる。秋蛍の季語になるのはヘイケボタルの方で、弱々しい光が、より郷愁をさそう。

ホタルの語源については諸説あるが、「ホ」は「火」、「タル」は「垂れる」「照る」だという説が有力。古くから親しまれてきた昆虫で、死者の霊魂とされることがある。万葉集巻十三の作者不詳の長歌は、「ほのか」の枕詞として「蛍なす」という詞に現れ、帰らぬ夫を待つ歌になっている。
源氏物語第25帖「蛍」には、玉鬘の歌として

声はせで身をのみこがす蛍こそ いふよりまさる思ひなるらめ

が載る。
なお、ゲンジボタルには、平家打倒を果たせず宇治川の戦いに散った、源頼政の無念が乗り移っていると言われている。後に平家打倒を果たした源氏であるが、敗れた平家に見立てて、小さい方をヘイケボタルと呼んだとも。源頼政の辞世は

埋木の花咲く事もなかりしに 身のなる果はあはれなりける

である。

【蛍の俳句】

初めての蛍水より火を生じ  上田五千石
もえやすく又消えやすき螢哉  向井千子

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