俳句

季語|雛芥子(ひなげし)

三夏の季語 雛芥子

雛罌粟(ひなげし)虞美人草(ぐびじんそう)ポピー(ぽぴー)

雛芥子の季語と俳句 ケシ科ケシ属ヒナゲシ。4月から7月頃に花が咲く。ヨーロッパ原産で、フランスやポーランドでは国花ともなっている。
初夏の季語になる「芥子の花」で知られる「芥子」は麻薬の原料となるため栽培が禁止されているが、「雛芥子」は栽培が許されている。芥子に比べると華奢で、花が小さいことから「雛芥子」と名付けられた。
また、「四面楚歌」が生まれた故事において、項羽の愛人であった虞は自害したが、その血が「虞美人草」になったという伝説があり、「虞美人草」とも呼ぶ。
フランス語では「コクリコ」と言う。英語では、麻薬となる芥子は「オピウムポピー」と言うが、雛芥子は「シャーレイポピー」と言う。単に「ポピー」と呼ぶ場合、大概は「雛芥子」を指す。
俳諧歳時記栞草(1851年)には、「虞美人草」として秋之部八月に分類されている。ここにおける「虞美人草」は、「紅蕉」を指すものか「雛芥子」を指すものか定かではない。「是は四五月花をひらく者也」と説明されている箇所があり、これを見れば夏(旧暦4月5月)に咲く「雛芥子」であるが、何故か秋に分類されている。

よく栽培されているのはアイスランドポピーで、黄・橙・白の花をつける。1759年に北極探検隊によってシベリアで発見された種で、シベリアヒナゲシとも呼ぶ。
近年では4月から5月頃になると、道端などに橙色の花を咲かせる「長実雛罌粟(ながみひなげし)」をよく見かけるようになった。1961年に東京都で初めて確認されてから、全国に爆発的に広がっていき、生態系への影響が懸念されている。

夏目漱石の小説に「虞美人草」(1907年)がある。

【雛芥子の俳句】

陽に倦みて雛罌粟いよよくれなゐに  木下夕爾

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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