季語|霧(きり)

三秋の季語 

夜霧(よぎり)朝霧(あさぎり)霧時雨(きりしぐれ)霧の香(きりのか)霧笛(むてき)

霧の俳句と季語空にあるのは雲で、地上に降りてきたものが霧。大気中の水分が飽和状態に達して、霧となる。
平安時代より、春は霞、秋は霧と呼び分けるようになった。
因みに、「冬の靄」の季語もある「靄」は、霧よりも濃度が低く、1キロメートルから10キロメートルの視界を確保できる。霧は1キロメートル以下。濃霧になれば100メートル以下である。「霞」には距離の定義はなく、春塵を含むイメージ。

「きり」は、動詞「きる」の連用形からきており、「き」は「気」に通じる。
俳諧歳時記栞草では、同じ霧でも「雺(ぼう・きり)」との違いに言及。「爾雅 孫炎註」の引用で「天気下り、地に応ぜざるを雺といふ。地気、天に発して応ぜざるを霧といふ」とある。つまり、空から降りてくるものが「雺」、大地から湧きおこるのが「霧」である。
万葉集には霧の歌が60首ほどあり、坂上郎女は

ぬばたまの夜霧の立ちておほほしく 照れる月夜の見れば悲しさ

と歌った。
古事記には、「霧」に関与する神の名として「狭霧の神」がある。神々誕生の段に、天の狭霧と国の狭霧の神が、大山津見と野椎の神の子として生まれている。

「霧」を含む熟語は多く、「霧散」「五里霧中」などがある。また、「霧の都」と呼ばれるロンドンは霧で有名であるが、日本にも霧で有名な土地は多い。1966年に布施明の歌う「霧の摩周湖」で有名になった摩周湖などがある。

【霧の俳句】

霧しぐれ富士をみぬ日ぞ面白き  松尾芭蕉
中天に並ぶ巌あり霧の奥  正岡子規

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