季語|茄子(なす・なすび)

晩夏の季語 茄子

なすび初茄子(はつなす・はつなすび)

茄子ナス科ナス属。インド東部が原産とされ、隋の煬帝はこれを崑崙紫瓜(こんろんしか)と言った。「茄子の花」とともに、その実は「茄子」として夏の季語となる。延喜式に栽培法が載ることから、奈良時代にはすでに伝来していたと考えられているが、俳諧が盛んになるまで、和歌にその名は見られない。
5月に植え付けた苗は6月中旬から実をつけはじめ、9月まで収穫できる。秋にとれる茄子は「秋茄子」といい、特に美味とされ、秋の季語となる。

品種は多く、世界で1000種、日本でも180種を超え、加茂茄子・丸茄子・長茄子・白茄子などがある。料理方法も多岐にわたり、加熱調理したり漬物にしたりして食す。
文化的には秋との結びつきが深く、盆の「精霊馬」や七夕の「七夕馬」になるほか、「秋茄子は嫁に食わすな」の慣用句もある。
初夢に「一富士、二鷹、三茄子」と言われるが、「茄子」は「成す」に掛けられることがある。また、平凡な人物から天才は生まれないという「瓜の蔓にナスビはならぬ」という慣用句もある。
関西では「なすび」と言うが、これが元の名である。室町時代の女官が「おなす」と呼んだところから、「なす」に転訛した。語源は、夏の実を表す「なつみ」にあるとされる。
表面につやのないものを「ぼけ茄子」と言い、ぼんやりした人を罵る言葉にもなっている。

【茄子の俳句】

うれしさよ鬼灯ほどに初茄子  岩田涼菟
茄子もぐや日を照りかへす櫛のみね  杉田久女

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