初冬の季語 茶の花
ツバキ科ツバキ属チャノキは中国原産で、茶の原料になる。常緑樹で、樹高は10メートルに達することもあるが、栽培変種は作業性を考慮して腰ぐらいの高さに抑えて栽培される。
10月から11月頃に、椿に似た小ぶりの白い花を下向きにつける。ただ、茶葉に栄養を行きわたらせるために花芽を摘み取ってしまうため、茶畑では茶の花を目にする機会はほとんどない。
茶の渡来時期は定かではないが、奈良時代には仏教行事に使用されていることから、それ以前である。鎌倉時代になると、喫茶が習慣化されて栽培が盛んになり、逸出したものが野生化している。ただし、縄文時代の遺跡から茶の実の化石が発見されており、在来種が自生しているとの見解もある。現在飲用されている日本茶の元となるものは、1191年に栄西が中国から持ち帰った種子の子孫で、1955年に静岡県登録品種になった「やぶきた」系統が約9割を占めている。
出雲地方には「ぼてぼて茶」というものがあり、これは茶と茶の花を煮たてて、その中ににぎり飯などを入れて食するものである。
ちなみに、茶席に飾る花のことは「茶花(ちゃばな)」と呼ぶ。季語にはならないので注意が必要である。
【茶の花の俳句】
茶の花や利休が目にはよしの山 山口素堂