仲春の季語 三椏の花
ジンチョウゲ科ミツマタ属ミツマタは、ヒマラヤ地方原産の落葉性低木で、3月から4月頃に芳香のある球状の黄色い花を咲かせる。園芸種には赤い花を咲かせるものもある。花のように見える部分は、萼が変化したものであり、花弁は持たない。
江戸時代に入る前の1590年頃、和紙の原料として中国から渡来したとされるが、万葉集に「三枝(さきくさ)」として出てくるのが三椏だという説がある。柿本人麻呂は
春さればまづ三枝の幸くあらば 後にも逢はむな恋ひそ我妹
と歌っている。ただし三枝は、福寿草あるいは沈丁花を指すという説もある。
枝が三つに分かれるために「みつまた」の名を持つ。樹皮は和紙の原料となり、紙幣に使われることで有名である。
【三椏の花の俳句】
二又に咲く三椏もありしこと 後藤比奈夫