三冬の季語 竈猫
炬燵猫(こたつねこ)・かじけ猫(かじけねこ)・へつつひ猫(へっついねこ)
寒さに弱い猫は、冬場、暖かいところへ移動して丸まり、惰眠をむさぼっていることがよくある。竈があった昔は、火を落としたその竈の中に丸まり、灰だらけになったりしたものだ。それを「灰猫」とも呼んだ。「へっつい猫」ともいうが、「へっつい」は、落語の「へっつい幽霊」「へっつい盗人」で知られる「竈」のことである。
竈が少なくなった現代では、炬燵の中に入り込む姿がよく観察され、「炬燵猫」と呼ばれる。近年では、「炬燵猫」というテレビアニメも放映されている。
なお、「竈猫」は比較的新しい季語であり、富安風生の1934年の俳句「何もかも知つてをるなり竈猫」が高浜虚子に認められたことで、季語の地位を確立した。
俳句になった生物 ⇒ 猫
【竈猫の俳句】
何もかも知つてをるなり竈猫 富安風生
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫 松本たかし