猫の俳句と季語

俳句を生み出す生物 季語になった猫

猫の季語「犬」の季語は「猟犬」しかないのに対し、猫の季語は大きく分けて、「竈猫」「猫の恋」「猫の子」の3つがある。「竈猫」の季節は冬で、寒さに弱い猫の特徴を表した季語となっている。「猫の恋」「猫の子」は春の季語であり、猫の繁殖期に因んだものである。犬と比較して、猫は季節変動の大きい動物だと言えるのかもしれない。

三冬の季語|竈猫

現代では、竈猫は絶滅したかもしれない。つまるところ、「猫灰だらけ」のことである。生きるためには格好なんてどうでも良い。猫にとって厳しい季節はまた、猫の性格がよく表れる季節でもある。

⇒ 竈猫とは
【関連季語と俳句】 竈猫かじけ猫炬燵猫へつつひ猫

仲春の季語|猫の恋

猫は、感情の変化が激しい動物。よって、感情がぶつかり合う恋の季節は、猫が最も猫らしい季節だと言える。近年は家猫が増えて、野良猫を見る機会が減ってはきたが、それでも時折、赤子のような声で威嚇しあう現場に出くわす。その時、俳句の中にも野生が宿る。

⇒ 猫の恋とは
【関連季語と俳句】 猫の恋恋猫うかれ猫孕猫猫の妻春の猫

晩春の季語|猫の子

「猫可愛がり」の言葉もあるように、猫は愛されるべき存在である。特に仔猫は、何をしても許される存在。動くもの全てに興味を示して飛び跳ねる様子を見ると、俳句を始めたころの自分の姿を想像してしまう。

⇒ 猫の子とは
【関連季語と俳句】 猫の子子猫猫の産親猫

猫を詠んだ有名な俳句

うらやましおもひ切時猫の恋

「猿蓑」所収の越智越人の句で、去来抄には、師である松尾芭蕉の評価が高かった句として取り上げられている。藤原定家の「うらやまし忍びもやらでのら猫の 妻恋ひさけぶ春の夕暮れ」を踏まえた句。芭蕉には、「猫の恋止むとき閨の朧月」の句がある。

声たてぬ時が別れぞ猫の恋

「千代尼句集」所収の加賀千代女の句。当時、絶世の美女としても有名だった千代女の恋の句である。

何もかも知つてをるなり竈猫

「十三夜」所収の富安風生の俳句。昭和9年に詠まれたこの俳句によって、「竈猫」という季語が生まれたと言われている。

猫の俳句で知られる俳人|久保より江

ねこに来る賀状や猫のくすしより

有名な猫の俳句夏目漱石の「吾輩は猫である」の雪江のモデルにもなった久保より江は、数多くの猫の俳句で知られている。有名な医学博士である夫の久保猪之吉氏とともに猫を可愛がり、複数の猫を飼っていた。猫の秀句に、掲句のほか「猫の子の名なしがさきにもらはれし」「泣き虫の子猫を親にもどしけり」「ねこの眼に海の色ある小春かな」などがある。

久保より江の俳句



【作家名】小崎侃【作品名】招き猫
36000円(税込/送料込)
カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可
小崎侃先生が種田山頭火の俳句の世界を描いた和の絵の木版画「招き猫」は、二匹の大小の招き猫をモチーフにした木版画です。
【アートギャラリーモトカワ】

季語由来|猫の語源

猫の俳句猫はよく眠ることから、その語源は「寝子」にあるのだと言われている。918年に編纂された本草和名には、「家狸 一名猫 和名禰古末(ねこま)」とあり、「寝高麗」として、伝来経路を盛り込んだとの説もある。
徳島にある王子神社は猫神様と呼ばれているが、その由来は根子神にあるという。根子は、根付いた者の意で、土着神のことを指す。「犬は人に付き、猫は家に付く」の言葉もある。

猫を探して俳句旅|猫の細道

猫の俳句尾道は、映画をはじめとする多くの文芸作品に登場する有名な坂の街。それだけに、歩けば詩情が自ずと湧き起こる。その尾道には、「奥の細道」ならぬ「猫の細道」がある。名物のロープウェイ下からの小径で、天寧寺三重塔にかけての坂道。狭い路地に猫の置物があり、それに絡みつくように猫が通行する。また、近くには「招き猫美術館」や、警備員と猫の攻防で有名になった「尾道市立美術館」もある。

尾道の坂知り尽し恋の猫

尾熊靖子氏(第13回おのみち俳句まつり入選作)
⇒ 尾道観光協会