俳句

長野県の季語と俳句

長野県内 俳句の舞台となった旅館

万平ホテル

ジョン・レノンの宿として有名な軽井沢の旅館であるが、俳句にも馴染み深く、昭和49年には山本健吉と井上靖が「利休と芭蕉」をテーマに対談を行ったことは良く知られている。殿村菟絲子に「グラス噛むばかり愛しむちゝろ虫」、徳田千鶴子に「三十余年前万平ホテルに滞在中の秋櫻子を病篤き遷子訪うて」の前書で「霧の中別れ言はずに別れけり」。

湯田中温泉 湯田中湯本

宿の主人は、小林一茶と親交があり、「七番日記」にも登場する。「わか草に笠投やりて入る湯哉」は、ここで詠まれたものと考えられる。河東碧梧桐荻原井泉水金子兜太らも一茶の足跡を尋ねて滞在し、宿は膨大な量の俳句関連資料を有している。その一部は、館内の展示コーナーに置かれている。

長野県の御当地季語

蛙狩の神事(新春の季語)
諏訪大社上社本宮で、1月1日に行なわれる神事。

賓頭盧廻(新春の季語)
1月6日に善光寺で行われる、荒縄で賓頭盧尊者の像を引き回して位置を変える行事。

御印文戴き(新春の季語)
善光寺の御判戴きともいう、1月7日から15日に行われる儀式。御印文を僧侶から額に当てて頂き、極楽往生を願う。

松本あめ市(新春の季語)
松本の塩市ともいう、1月第2土日に松本城下で行われる商業イベント。

新野の雪祭(新春の季語)
下伊那郡阿南町の新野地区で1月13日から15日に行われる祭りで、「雪祭」として、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

御柱祭(夏の季語)
寅年と申年の5月4日から5日に、諏訪大社で行われる式年造営御柱大祭。日本三大奇祭のひとつ。

戸隠祭(秋の季語)
戸隠神社の例祭。8月14日は中社、8月15日は奥社、8月16日は宝光社、8月18日は火之御子社で行われる。

御射山祭(秋の季語)
8月26日から28日に行われる諏訪大社の祭り。

信濃柿(秋の季語)
西アジア原産で中国から渡来してきた。渋を採るために栽培が行われる。信濃地方で栽培が盛んなことから名前がついた。

御神渡(冬の季語)
諏訪湖が全面結氷して氷が裂けると、諏訪神社上社の建御名方命が下社の八坂刀売命のもとへ通った道筋ができると言われ、御神渡という。

遠山の霜月祭(冬の季語)
飯田市遠山郷で旧暦霜月に行われる「湯立神楽」。

ざざ虫(冬の季語)
天竜川上流域で、カワゲラやトビケラ等の幼虫を食用とする時の総称。

長野県を詠んだ俳句

俤や姥ひとり泣く月の友 松尾芭蕉
1688年頃に成立した「更科紀行」の中の一句。「姨捨山」として載る。芭蕉の自信作だと言われている。

是がまあつひの栖か雪五尺 小林一茶
文化9年11月24日(1812年12月27日)に柏原に入り、しばらく滞在している時に詠まれた。

春風や牛に引れて善光寺 小林一茶
「七番日記」所収。1811年の句で、「我春集」に「二月廿五日より開帳」の前書き。

帰る雁田毎の月の曇る夜に 与謝蕪村
「蕪村句集」から。姨捨山の麓で詠まれた句である。

白樺の稀にはななめ秋晴るる 皆吉爽雨
「雪板」(1944年)所収。「志賀高原五句」の中の一句。

ご当地季語と御当地俳句