俳句

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野見山朱鳥 

絶命の寸前にして春の霜 
少年に獣の如く野火打たれ 
かなしみはしんじつ白し夕遍路 
春落葉いづれは帰る天の奥 
裸子や涙の顔をあげて這ふ 
浜昼顔風に囁きやすく咲く 
曼珠沙華竹林に燃え移りをり 
寒紅や鏡の中に火の如し 
父母の炉に山河を越えて子等集ふ 
天の鷹雄のさびしさを高めつつ 
火を投げし如くに雲や朴の花 
生涯は一度落花はしきりなり 
秋風や書かねば言葉消えやすし 
曼朱沙華散るや赤きに耐えかねて 
眠りては時を失ふ薄氷 
つひに吾れも枯野のとほき樹となるか 
夕焼消え真紅の薔薇を抱き来し 
いのち短し泉のそばにいこひけり 
南風や故郷を恋へるギリシヤ船 
死後涼し光も射さず蝉も鳴かず 
みじろぎもせず炎昼の深ねむり 
太郎鮫血祭にして磯びらき 
初雪は隠岐に残れる悲歌に降る 
射すひかり石を包みてあたたかし 
金の斧手に春雷の中に立つ 
病むことは生死の対話春蚊出づ 
花蜜柑絶命の文字石に濃し 
不知火を見る丑三の露を踏み