俳句

季語|きりぎりす

初秋の季語 きりぎりす

螽斯(きりぎりす・しゅうし)ぎす

きりぎりすの俳句と季語バッタ目キリギリス科キリギリス属に分類される昆虫。本州から九州に分布し、主に東日本に生息するヒガシキリギリスと、西日本に生息するニシキリギリスに分かれる。春に孵化した幼虫は、花粉などを食して成長するが、大きくなると昆虫などを捕食するようになる。
晩夏から初秋にかけての昼間、オスは草むらで前翅をこすり合わせて鳴く。その鳴き声は「チョンギス」と聞きなし、そこから「ぎす」とも呼ばれ、キリギリスの語源になったと言われている。
しかし、江戸時代まではコオロギとの混同が度々発生。新古今集に載る後京極摂政前太政大臣の歌

きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む

は、コオロギの事を歌っているというのが通説になっており、江戸時代の俳諧歳時記栞草の「蟋蟀」の項でもこれを「きりぎりす」と読ませ、コオロギの説明がなされている。有名な芭蕉句「むざんやな甲の下のきりぎりす」も、コオロギの事だと考えられている。

古くは、その鳴き声が機織機の音に似ていることから、「機織(はたおり)」と呼ばれており、拾遺和歌集の紀貫之に

秋くれば機織る虫のあるなべに 唐錦にも見ゆる野辺かな

の和歌もある。
俳諧歳時記栞草には「絡線虫(はたおり」とあり、七月に分類。「六月の内より鳴初て、七月中ごろまで、野叢の中、昼盛に鳴く。其声ギイゝスといふが如し。一二声の内にチョンと舌打す。俗、是を蛩(きりぎりす)と云て、小籠に入て市に売て小児の翫(もてあそび)とす。その形いなごに似て大なり、是はたおり也。ギイゝといふは機躡(まねき)の音、チョンは筬(おさ)打音なり。又ギスともいへり。」とある。

平安時代の「堤中納言物語」の中の「虫めづる姫君」は、昆虫を飼う風変わりな姫君を描いた短編であるが、その中に「はたおりめ(きりぎりす)」の小袿を着ているとある。
世界的には、イソップの物語の「アリとキリギリス」が知られており、この物語のように、きりぎりすは冬になる前に死滅する。

▶ 関連季語 蟋蟀(秋)

【きりぎりすの俳句】

むざんやな甲の下のきりぎりす  松尾芭蕉

【きりぎりすの鳴き声】
バッタ目キリギリス科キリギリス属。オスのみが前翅をこすり合わせて鳴く。チョンギスと聞きなす。(YouTube 動画)

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