三冬の季語 霜
朝霜(あさじも・あさしも)・霜の花(しものはな)・大霜(おおしも)・強霜(つよしも)・霜解(しもどけ)・霜の声(しものこえ)
物体の表面の温度が霜点より下がった時、空気中の昇華した水蒸気が、物体表面で結晶となったものを「霜」という。つまり、物体の表面に空気中の水蒸気が凍り付いたもので、地中の水分が凍った霜柱とは異なる。放射冷却現象の発生する晴れた寒い夜にできやすいが、昼間でも生じることがある。
平年の初霜の観測は、北海道では10月中、その他の地域は11月中が多いが、東京では12月20日となっている。二十四節気には霜の降り始める時期を指す「霜降」があり、10月23日頃となる。終霜は、北海道で5月、北日本で4月、その他の地域では3月、東京は2月20日となっている。
万葉集にも多く詠みこまれており、仁徳天皇の皇后・磐姫皇后は
ありつつも君をば待たむうち靡く 我が黒髪に霜の置くまでに
と歌っている。枕草子には、
冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。
とある。
【霜の俳句】
両袖に泣子やかこふ閨のしも 久村暁台
南天をこぼさぬ霜の静かさよ 正岡子規