睡蓮(すいれん)

晩夏の季語 睡蓮

未草(ひつじぐさ)

季語 スイレン科スイレン属の多年生水草。7月から8月にかけて花をつける。蓮と異なり、茎は水面から立ち上がらない。日本に古来自生するのはヒツジグサで、それ以外は明治時代以降の外来種か、それを交配させたもの。印象派のクロード・モネが好み、庭につくった睡蓮の池を描いた一連の絵画「睡蓮」はあまりにも有名。高知県北川村に再現された「北川村モネの庭マルモッタン公園」は、モネ財団公認の睡蓮の池がつくられたことで知られている。
ヒツジグサの語源は、未の刻に花を咲かせるところにある。夜には花を閉じてしまうことから、漢名では、睡る蓮として睡蓮の字が当てられる。

漣の吸ひ込まれゆく未草  西村和子



河童忌(かっぱき)

晩夏の季語 河童忌

芥川忌(あくたがわき)・我鬼忌(がきき)我鬼忌(がきき)・澄江堂忌(ちょうこうどうき)・龍之介忌(りゅうのすけき)

季語7月24日。芥川龍之介(1892年3月1日~1927年7月24日)の忌日。河童忌は、1927年発表の短編「河童」に因む。澄江堂主人と号し、俳号は書斎の扁額「我鬼窟」に因んで我鬼とした。俳句は、1918年から高浜虚子の指導を受けた。

河童忌の庭石暗き雨夜かな  内田百閒



西日(にしび)

晩夏の季語 西日

大西日(おおにしび)

季語西に傾いた太陽。その日ざし。

広島の西日かなしき駅前に  皆吉爽雨



朝焼(あさやけ)

晩夏の季語 朝焼

朝焼雲(あさやけぐも)

季語朝焼けが出ると雨が降るという。

夕焼と同時期に成立したと考えられるが、「夕焼」を詠んだ句が散見されるのは江戸時代後期になるから、比較的新しい語か。万葉集に安貴王の歌として

秋立ちて幾日もあらねばこの寝ぬる朝明の風は手本寒しも

が載るが、朝焼け自体はこの「朝明(あさけ)」が転訛したものなのかもしれない。

鳩とゐて朝焼雀小さしや  石田波郷



夕焼(ゆうやけ)

晩夏の季語 夕焼

夕焼雲(ゆうやけぐも)・ゆやけ

季語季語として春夕焼、秋夕焼、冬夕焼もあるが、単に「夕焼」といった場合は夏。夕焼の翌日は晴れるという。

夕焼の言葉が成立したのは比較的新しく、江戸時代後半に「夕焼」を詠んだ句が散見される。季語となったのは明治以降である。なお、中世には「ほてり」と呼んでいたらしい。中国では夕焼に「霞」の字を当てる。「やけ」も夕焼けを指す言葉として使われているが、朝焼けにも使用されていることから、「やけ」とは「明け」あるいは「朱」の転訛かもしれない。

愛欲やしかし夕焼を眼に入れて  秋元不死男



合歓の花(ねむのはな)

晩夏の季語 合歓の花

ねむり木(ねむりぎ)・ねぶの花(ねぶのはな)

季語「歓喜」の花ことばを持つ。マメ科の落葉高木で、7月頃開花する。日本では、本州・四国・九州に自生。万葉集に合歡木(ねむ)として既にその名が見られ、

昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ見めや戯奴さへに見よ  紀女郎

我妹子が形見の合歓木は花のみに咲きてけだしく実にならじかも  大伴家持

我妹子を聞き都賀野辺のしなひ合歓木我れは忍びず間なくし思へば  よみ人しらず

の三首が載る。

夜になると葉を閉じるため、「眠り木」が転じてネムとなった。中国では、ネムノキが夫婦円満の象徴とされていることから、「合歓」の字が当てられた。

象潟や雨に西施がねぶの花  松尾芭蕉
雨の日やまだきにくれてねむの花  与謝蕪村