三冬の季語 どてら
褞袍(どてら)・丹前(たんぜん)
防寒用に綿を厚く入れた広袖の着物のこと。襦袢のことを「ててら」と呼んでいたのが「どてら」に転訛したものとも言われる。
「丹前」ともいう。江戸の松平丹後守邸前に遊女を置いた「丹前風呂」と呼ばれる風呂屋があった。その遊女の着ていた着物を「丹前」と呼び、風流を気取った旗本奴たちが好んで身につけたという。
【どてらの俳句】
星移り物変りどてら古びけり 日野草城
「煤払い」とは、新年を迎えるための歳末の大掃除のことで、江戸時代には「正月事始め」として12月13日に行われることが習わしであった。この日は何をするにも縁起が良いとされ、通常は12月28日までに大掃除を終わらせた。現代では大掃除の負担も昔ほどは大きくなく、年末に短期間で済ませることが多くなったが、「9(苦)」がつく29日や神様を迎える日である31日は避けなければならない。また、1月1日に掃除をすると、福が逃げていくと言われている。
かつては、炉や竈から出た煤汚れを落とすことは大仕事であり、片付けに当たってもそれらの汚れを先に落としておくことが、清潔に保つために必要であった。今では煤汚れを落とすことは稀であるが、「煤払い」は、埃を払ったりするような大掃除全般を指すようになり、年間の厄を取りはらう意味合いが加味されている。
「煤逃げ」とは、大掃除の邪魔にならないように別の部屋に移ったり外出したりすることをいう。
因みに「大掃除」は、春の季語とすることが通例であり、秋の季語として「秋の大掃除」もある。春秋に行われた大掛かりな掃除を指すものである。
裘(かわごろも・きゅう)・毛衣(けごろも)・皮衣(かわごろも)・かわぎぬ
防寒のために、獣の皮で作った衣のこと。現代では、「毛皮」といえば高級衣類のイメージがあるが、本来は「裘」に仕立てられる毛のついた獣皮のことである。
旧石器時代から防寒着として利用されていたと考えられており、キツネ・テン・イタチなどが毛皮にするために狩猟されてきた。これらの毛皮はリアルファーと呼ばれるが、近年では動物愛護の観点からファッションブランドも敬遠する傾向があり、化学繊維で毛皮に似せたフェイクファーを用いることが多い。
大歳(おおとし・おおどし)・大年(おおとし)・除日(じょじつ)
1年の最後の日のことで、新暦では12月31日のこと。元は、旧暦の各月の最終日となる三十日を「みそか」と呼び、一年の最後の三十日という意味で「おおみそか」とした。
「晦」は月が出ないことを表す漢字であり、月が隠れる旧暦の三十日を指した。大晦(おおつごもり)ともいうが、一年最後の「月籠り(つごもり)」の日という意味である。
「大歳」「大年」も1年の最後の日のことを指す。これに対して、「小歳(こどし)」「小年」は、元日のこととなる。
また、大晦日のことを「除日」とも言うが、旧年を除く日の意味を持っている。
寒弾(かんびき)・寒稽古(かんげいこ)・寒復習(かんざらい)
寒中の早朝や夜更けに、芸事などの稽古をすること。三味線の稽古をすることを「寒弾」という。武道においては「寒稽古」という。
寒さの中で精神を鍛え、技術の向上を目指す。
和紙で作った衣類のことで、軽くて保温性に優れる。糊を用いて和紙をつなぎ、耐水性と耐久性を持たせるために柿渋を塗る。乾燥後に、手揉みして柔らかくしたものを着用する。
平安時代ころから律宗の僧侶が柿渋を塗らない白紙子を用いはじめ、東大寺のお水取りでも使われるようになった。元禄年間には清水坂(京都)で生まれた清水紙子が流行したという。安価で丈夫であることから、江戸時代の俳人も好んで利用した。
「紙子」は惨めな境遇を形容する言葉にもなったが、その一方で高価に仕立てたものも出回り、茶人など通人の装いともなった。