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秋元不死男 

馬を見て年酒の酔の発しけり 
満開の花の中なる虚子忌かな 
はるばると海よりころげきし栄螺 
鋸に乗られて支ふうまごやし 
せせらぎや駈けだしさうに土筆生ふ 
一口の若布汁熱ければさぞ 
蟻這はすいつか死ぬ手の裏おもて 
子を殴ちしながき一瞬天の蝉 
虱背をのぼりてをれば牢しづか  (瘤)
冬シャツ抱へ悲運の妻が会ひにくる  (瘤)
寝ねて不良の肩のやさしく牢霙る  (瘤)
やや寒の象に曳かるる足鎖 
運動会少女の腿の百聖し 
頼りなき菊人形と別れけり 
終戦日妻子入れむと風呂洗ふ 
火だるまの秋刀魚を妻が食はせけり 
莨火をかばふ埋立冬一色 
隆々と一流木の焚火かな 
へろへろとワンタンすするクリスマス 
田作や河童に入歯なかるべし 
馬に逢ひ年酒の酔の発しけり 
切手売る初髪の紅一点嬢 
読初の相聞訛る東歌 
初夢に一寸法師流れけり 
鳥わたるこきこきこきと罐切れば 
愛欲やしかし夕焼を眼に入れて 
去年のまゝ塀と冬空声もなし 
白壁の浅き夢みし蝶の春 
ひとつ見えて秋燈獄に近よらず 
女髪より枯草を取り別れけり 
三月やモナリザを賣る石畳 
雨着透く春分の日の船の旅 
遠景を寝棺過ぎゆく蜂の声 
水澄みて亡き諸人の小声かな 
蚊柱見て遺言めきし語をはさむ 
恋過ぎて南風に浜雀乗る 
炎昼に製氷の角をどり出る 
冬蜂の尻てらてらと富士の裾 
満月に葱折れてより交を絶つ 
年の瀬や浮いて重たき亀の顔 
満潮が冬星のせて岩たたく 
ねたきりのわがつかみたし銀河の尾 
富士の根にわが眠る鳥わたりけり 
蛙鳴きまくる対岸に作家ゐて 
飯炊いて妻旅に立つ雨蛙 
耿々と河鹿の笛に渓の天 
死の見ゆる日や山中に栗おとす 
太陽がまぶしさ嫌ふ雪達磨