服部嵐雪 ●
梅一輪一輪ほどのあたたかさ 季 (遠のく)●
島原の外も染むるや藍畠 季
元日や晴れてすゞめのものがたり 季
しだり尾の長屋長屋に菖蒲哉 季
竹の子や児の歯ぐきのうつくしき 季
黄菊白菊其の外の名はなくもがな 季
たまはるる石花にかしこしひねり文 季
たまたまに引人の有赤大根 季
おもへばや泣れ笑はれとしのくれ 季
武士の足で米とぐ霰かな 季
この下にかくねむるらん雪仏 季
悦ぶを見よや初音の玉ははき 季
一葉散る咄ひとはちる風の上 季
不産女の雛かしづくぞ哀れなる 季
鶯にほうと息する山路かな 季
なめくぢり這ひて光るや古具足 季
真夜中やふりかはりたる天の川 季
五位六位色こきませよ青簾 季
元旦やはれて雀のものがたり 季
たて臼もともに踊るや祇園の会 季
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