俳句

季語|虫(むし)

三秋の季語 

虫の声(むしのこえ)虫の闇(むしのやみ)虫時雨(むししぐれ)虫籠(むしかご・むしこ・むしご)

虫の俳句と季語単に「虫」と言えば、蟋蟀を中心とした秋に鳴く虫を指すため、秋の季語となる。万葉集の時代、秋に鳴く虫は全て「こほろぎ」と呼ばれている(長歌に出てくる「虫」もあるが、「火に入る夏虫」である)。
古今和歌集の時代には、中国から伝わった虫の音を楽しむ文化の影響で、「虫」を見る目に変化が訪れた。今で言う「コオロギ」を指す「きりぎりす」が歌われるほか、藤原敏行朝臣に

秋の夜のあくるも知らず鳴く虫は わがごと物や悲しかるらむ

の和歌がある。
なお、江戸時代以前の秋の虫の呼称には、注意を払う必要がある。「蟋蟀」「竈馬」「きりぎりす」「松虫」「鈴虫」いずれも、現在とは違うものを指している場合がある。

「虫」という漢字は「キ」と読み、ヘビをかたどった象形文字と言われ、人間を含めた生物全般を指す「蟲(チュウ)」とは、本来異なっていた。「虫」が「蟲」の略字体として使用される過程で、「虫」と「蟲」は同化したと言われる。
日本において、「むし」の表現は日本書紀に既に現れるが、「這う虫」や「夏虫」である。これらの「むし」は「まむし」に通じ、異形の存在を指し示す言葉だったと考えられるが、その語源は「産す(むす)」であろう。
「虫」には多くの慣用句があり、「腹の虫」「虫の知らせ」「虫が好かない」「虫がつく」「虫も殺さない」「虫の息」などがある。

現代感覚では、虫籠と言えば昆虫採集に使うものと捉え、夏のものと考えがちである。しかし、古くは鳴く虫を飼うために使用するものであり、秋の季語となる。

▶ 関連季語 蟋蟀(秋)
▶ 関連季語 松虫(秋)
▶ 関連季語 鈴虫(秋)

【虫の俳句】

行水の捨てどころなし虫の声  上島鬼貫
残る音の虫はおどろくこともなし  中村草田男

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