晩冬の季語 雨氷
過冷却状態の雨(0℃以下でも凍っていない雨)は、木などに付着した途端に透明な氷になる。その付着氷をいう。白色のものは「樹氷」である。地表付近の気温がマイナスで、上空の気温がそれよりも高い条件で発生する珍しい現象である。
鱗翅目に分類される昆虫の内、蝶(アゲハチョウ上科・セセリチョウ上科・シャクガモドキ上科)を除いた分類群の総称であり、蝶と蛾の間には明確な区分はない。
日本では、「蛾」とよばれるものは約6000種が知られ、樹木害虫のイラガ、繭から絹を採るカイコ、幼虫は尺取虫と呼ばれるシャクガ、大きく美しい紋様を持つヤママユ、飛んで火に入る夏の虫の代表種であるヒトリガなどがある。
夜間に活動すると思われがちであるが、種によってその生態は様々であり、日中飛行するものもある。幼虫が毒針毛を持つチャドクガなどの種類もあるが、成虫では毒を持たない。ただし、幼虫時代の毒針毛が体表に付着していることもあり、アレルギー反応を起こすことがある。
「ガ」の名が定着したのは室町時代頃だとの説があり、万葉集などでは「蛾」と書いて「ひむし」と読ませる。「火虫」である。
うらがへし又うらがへし大蛾掃く 前田普羅
鷦鷯(みそさざい)
スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属ミソサザイは、日本で最も小さい小鳥の一種。日本では留鳥として見られ、渓流近くの森林によく見られる。冬には人家のある山麓近くまで下りてくるため、冬の季語とされる。美しい囀りでも知られ、2月頃から聞くことができる。
日本書紀には、大己貴神(オオクニヌシ)の出雲国平定の箇所に、五十狭狭の小汀(稲佐の浜)で鷦鷯(さざき:ミソサザイ)の羽をまとった少彦名命に出会ったという話がある。
スコットランドに、一番高く飛べたものを鳥の王様にするという競争があり、ミソサザイはワシの首につかまって、最後の最後に飛び出して「鳥の王様」になったという民話がある。
ミソサザイの名は、生息地である「溝」と、小さいことを表す「ササ」と、鳥を表す接尾語「キ」から、「ミソザザキ」と呼ばれていたものが転訛したものだと考えられている。「三十三才」は当て字である。
ひとり来てひとり動けり三十三才 森澄雄
【三十三才の鳴き声】日本では北海道から屋久島に生息し、冬に目にすることが多い。三十三才は地味な小鳥ではあるが、その囀りは高く美しく、囀り始める2月頃には存在感を増す。(YouTube 動画)
花畑は秋の季語であるが、「お花畑」は夏の季語となり、高山植物の群生している様を指す。高山に咲く花々を山神のものとして、「花畑」に接頭辞をつけたものである。
登山が盛んになった近代に生まれた季語であり、登山シーズンの夏に見られる黄菅などの群生地のことである。
お花畑岩に棲む鳥来て隠る 堀口星眠
▶ 夏の季語になった花 見頃と名所
▶ 俳句の季節「脳内お花畑からはじめる俳句」
鹿売(ろくうり)
病気の養生などのために栄養になるものを食べることをいうが、獣肉は穢れているとして肉食が厭われた時代にも、体力をつけるために鹿や猪の肉などを食べた。これを「薬喰」という。
俳諧歳時記栞草(1851年)には、本朝食鑑の引用で、次のようにある。「本邦、鹿を食する者、穢忌多しとす。此、加茂春日の神使の故か。故に世人、鹿(しか)の訓を忌み、音を以て鹿(ろく)といふ。鹿肉(ろくにく)、甘温にして毒なし、冬時に食ふべし。他月宜しからず、故に寒中特に用之。中を補ひ気を益、一切の風虚を療し、血脉を調ふ。故に、是を薬食(くすりぐい)といふ。諸獣も又これを食ふ者あり。」
隠語として「交合」をも指す。
雪が降っても通行できるように、町家の庇などを張り出して、下を通路にしたもの。その構造が、雁の編隊飛行の形に似ていることから「雁木」の名がついた。船着場の階段状の構造物や、雁が編隊飛行しているように見える階段も「雁木」というが、それとは異なる。
青森県では小見世(こみせ)、山形県では小間屋(こまや)、鳥取県では仮屋(かりや)などと呼ばれ、雪が多い日本海側の町で見られたが、現在では新潟県と青森県黒石市に残るのみだという。新潟県東蒲原郡阿賀町津川には「雁木発祥の地」の碑がある。青森県黒石市は、まちづくりの一環として保存維持を進めている。