季語|樫の花(かしのはな)

晩春の季語 樫の花

樫の花樫は、ブナ科コナラ属の一群の総称で、アカガシ・アラカシ・イチイガシ・ウバメガシ・ウラジロガシ・オキナワウラジロガシ・シラカシ・ツクバネガシの8種がある。木質がひじょうに堅いことから「樫」の国字が当てられ、「かたし」が語源となっているとの説がある。古代から日本人に馴染み深い樹木であり、初代天皇である神武天皇は、白檮原宮(かしはらのみや・現在の奈良県橿原神宮のあたり)で天下を治めた。
樫の木は、種によって開花期が異なるものの、概ね3月から5月頃に花をつける。雄花と雌花を持つ風媒花で、花弁はない。

【樫の花の俳句】

樫の木の花にかまわぬ姿かな  松尾芭蕉

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季語|ヒヤシンス

晩春の季語 ヒヤシンス

風信子(ふうしんし)

ヒヤシンスユリ(キジカクシ)科ヒヤシンス属ヒヤシンスは、「ヒアシンス」とも書く球根性多年草で、ギリシャ地方原産。水栽培でも馴染み深く、秋植えすると3月から4月頃に香りのよい花をつける。
オスマン帝国で園芸化され、16世紀頃にヨーロッパに広がり、数千もの園芸品種がつくられた。園芸品種には、花をたくさんつけるダッチ・ヒヤシンスと、ややまばらなローマン・ヒヤシンスの2系統がある。
日本には、江戸時代末期の1863年にフランスから渡来した。当初は、西洋の発音に合わせて「飛信子(ひやしんす)」「風信子(はやしんす)」の字が当てられた。

ヒヤシンスの語源は、ギリシャ神話の美青年ヒュアキントスにある。太陽神アポロンと円盤投げに興じていた時、嫉妬した西風の神ゼピュロスが風を起こしたために、円盤が頭に当たって亡くなった。その時、血に染まった草の中から咲いたのがヒヤシンスだったという。このことから、「悲しみを超えた愛」の花言葉を持つ。

【ヒヤシンスの俳句】

銀河系のとある酒場のヒヤシンス  橋閒石

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季語|蚕豆の花(そらまめのはな)

晩春の季語 蚕豆の花

蚕豆の花マメ科ソラマメ属ソラマメは地中海沿岸原産で、日本での栽培は、奈良時代にインドから渡来した菩提僊那(ぼだいせんな)が行基に贈ったものがもとになっているとの説がある。
花は3月から4月頃に咲き、蚕豆は5月から6月頃に収穫される。実が空に向かって伸びていくことから「そらまめ」と呼ばれ、さやの中がカイコの繭に似ていることから「蚕豆」の漢字が当てられたと言われる。

【蚕豆の花の俳句】

そら豆の花の黒き目数知れず  中村草田男

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季語|杏の花(あんずのはな)

晩春の季語 杏の花

花杏(はなあんず・かきょう)花杏子(はなあんず)

杏の花バラ科サクラ属アンズは、中国原産の落葉小高木。桜よりやや早く、3月から4月頃に開花する。「杏」として夏の季語になる実は、生食したり、ジャムなどの加工食品にする。
日本では古くは「唐桃(からもも)」と呼ばれ、奈良時代に唐から渡来したと考えられている。漢名であった「杏子」の唐音「あんず」が、そのまま日本でも用いられたと言われている。俳諧歳時記栞草(1851年)では、春之部三月に「杏花(あんずのはな・からもも)」として立項されている。
英名ではアプリコットである。近世まではアルメニアが原産地であると考えられていたため、学名は「Prunus armeniaca」である。

実は、杏仁などと呼ばれる生薬になる。神仙伝(古代中国)に、廬山の董奉が、金を受け取る代わりに貧乏な患者に杏の木を植えさせたという話がある。見事な杏の林ができ、自ら董仙杏林(とうせんきょうりん)と号したところから、「杏林」は医者の美称ともなった。

【杏の花の俳句】

しをるるは何かあんずの花の色  松永貞徳

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季語|連翹(れんぎょう)

仲春の季語 連翹

連翹連翹は、モクセイ科レンギョウ属の半つる性植物の総称で、主に中国原産のレンギョウ、シナレンギョウ、朝鮮半島原産のチョウセンレンギョウを指す。これらの開花期は3月から4月頃。限られた地域でしか見られない日本原産種のヤマトレンギョウやショウドシマレンギョウは、開花時期が約1ヵ月遅れる。
レンギョウの花弁は丸みを帯び、シナレンギョウは細長い。チョウセンレンギョウは細長い花弁を持ち、枝が弓なりに垂れるところに特徴がある。これら3種の連翹は、耐寒耐暑性に優れ、大気汚染や病虫害にも強いことから、全国の公園などによく植えられている。
「連翹」は直立した茎に連なる実がなることを表したもので、もともと中国で巴草を指す漢字であったが、日本で誤用されて音読みで「れんぎょう」と呼ぶようになったとされる。俳諧歳時記栞草(1851年)には春之部二月に分類され、和名抄の引用で「和名以多知久佐(いたちぐさ)、一名以多知波世(いたちはぜ)」とある。
渡来時期は不明であるが、出雲国風土記(733年)の意宇郡・秋鹿郡に山野の草木として「連翹(いたちぐさ)」が記載されていることから、太古に遡るという説があるが、平安時代や江戸時代前期との説も存在する。

彫刻家で詩人の高村光太郎の命日は4月2日であるが、生前好んだ連翹の花が、棺の上に一枝置かれていたことから、「連翹忌」という。

【連翹の俳句】

連翹の枝の白さよ嫋さよ  山口青邨

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季語|山桜桃の花(ゆすらのはな)

晩春の季語 山桜桃の花

山桜桃の花「山桜桃の花」は、バラ科サクラ属ユスラウメの花で、3月から4月頃に咲く。中国原産で、江戸時代初期に渡来したと言われ、俳諧歳時記栞草(1851年)には「桜桃花(ゆすらのはな)」として春之部三月に分類されている。ただし、現代では「桜桃の花」というと、サクランボを指すことが普通である。
ユスラウメの花は、「ウメ」とはいうもののサクラに似ており、中国で生まれた「」の漢字は、もともとこのユスラウメに当てられたものだとされている。語源には、移植を楽しむ意のある朝鮮名「移徒楽(いさら)」からの転訛説や、と実のなる時期が重なり、木をゆすって収穫するために「ユスラウメ」の名がついたとの説などがある。

【山桜桃の花の俳句】

日あたりてぬくき素足やゆすら咲く  日野草城

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季語|銀杏の花(いちょうのはな・ぎんなんのはな・ぎんきょうのはな)

晩春の季語 銀杏の花

銀杏の花イチョウ科イチョウ属イチョウは、生きた化石とも言われる世界最古の樹木種で、中国原産の一種のみが知られている。ただ、変種としては94種がある。日本へは15世紀頃に渡来したとの説が有力である。
裸子植物で雌雄異株。4月から5月頃に開花するが、目立たない。雌花はむき出しの胚珠を2つつけ、雄花(画像)は房状になる。風媒花である。尾花にできた花粉は、風に乗って1キロメートル以上飛散する。雌花の先に付着した花粉は、約5カ月後に精子となり、卵まで移動して受精する。

中国語の「鴨脚」の発音をまねて、日本では「いちょう」と呼ぶようになったとする語源説がある。また、「一葉(いちよう)」が語源との説もある。

【銀杏の花の俳句】

銀杏の花や鎌倉右大臣  内藤鳴雪

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季語|黄楊の花(つげのはな)

晩春の季語 黄楊の花

黄楊の花黄楊はツゲ科ツゲ属の常緑低木で、3月から4月頃に淡黄色の花弁のない小花をつける。日本の固有変種で、山形県から屋久島にかけて広く分布している。似た植物にイヌツゲがあるが、こちらはモチノキ科の別種である。イヌツゲに対して、黄楊のことを「ホンツゲ」ともいう。
「黄楊」の漢字は、黄色い花が咲く柳を表している。「つげ」の語源は、葉が次々につくところにあるとの説がある。「柘植」とも書く。

黄楊は、古来細工物の材木として珍重され、櫛などに仕立てられた。万葉集にも黄楊の櫛が歌われている。また、樹高が低く枝葉が密になるので、垣根によく用いられている。

【黄楊の花の俳句】

閑かさにひとりこぼれぬ黄楊の花  阿波野青畝

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季語|桜桃の花(おうとうのはな)

晩春の季語 桜桃の花

桜桃の花バラ科サクラ属の果樹である桜桃は、夏にはサクランボと呼ぶ実をつける。その木はチェリーとも呼ぶ。多くの種類があるが、サクランボを採る目的で植えられた木のほとんどは、西洋実桜(せいようみざくら)と呼ばれる、地中海沿岸を原産地とする品種からつくられたものである。日本へは、明治時代初期に導入された。
種類によって花期は異なるが、3月頃から花が見られる。主なものでは「暖地桜桃」が3月頃、「佐藤錦」が4月頃である。同時期に「山桜桃」も花をつけるが、こちらの実は「ユスラウメ」と呼ばれるため、俳句を詠む上では「桜桃の花」と「山桜桃の花」は分けるのが普通である。

【桜桃の花の俳句】

桜桃の花の静けき朝餉かな  川崎展宏

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季語|フリージア

晩春の季語 フリージア

フリージアアヤメ科フリージア属フリージアは南アフリカ原産で、2月から6月頃に黄・白・紫などの花をつける。原種は16種類あり、オランダを中心に品種改良がすすめられ、数百種の園芸品種がある。そのほとんどは芳香があり、「香雪蘭(こうせつらん)」とも呼ばれている。白と黄色以外のものはウィルスに弱いため、見かけることは少ない。
「フリージア」の名は、19世紀のデンマークの植物学者エクロンが、友人のドイツ人医師フレーゼに因んで名付けたもの。日本では「浅黄水仙(あさぎすいせん)」の別名もある。
日本には江戸時代末期に渡来したと見られている。

【フリージアの俳句】

フリージア受話器を置きし時匂ふ  西村和子

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