カテゴリー: 季語
季語|筒鳥(つつどり)
三夏の季語 筒鳥
カッコウ目カッコウ科ツツドリは、東南アジアなどから夏鳥として飛来するホトトギスによく似た鳥で、主に毛虫を食べる。5月から6月頃に、山地の森林内でウグイス科の鳥類に托卵して繁殖する。
その鳴き声が、紙筒の口を叩く音に似ていることから、筒鳥とされた。東北地方などでは、「トット(ツツドリ)鳴いたら粟をまけ、カッコウ鳴いたら豆をまけ、ホトトギス鳴いたら田植えせよ」などと言われ、タネマキドリと呼ぶ地方もあった。
【筒鳥の俳句】
筒鳥の霧重くなりし声音かな 大須賀乙字
【筒鳥の鳴き声】ホトトギスと似ているが、ホトトギスより一回り大きい。その鳴き声は「ポポ ポポ」などと聞きなす。(YouTube 動画)
季語|水飯(すいはん・すいは・みずめし)
晩夏の季語 水飯
洗い飯(あらいめし)・水漬(みずづけ)
強飯を水に漬けて食用にしたもの。後に、炊いた飯に水をかけたものも指すようになった。源氏物語の常夏にも登場する。「みずまま」と呼ぶ山形県の食文化にもなっている。
【水飯の俳句】
水飯や一猫一犬二子夫妻 石塚友二
季語|大瑠璃(おおるり)
季語|麦茶(むぎちゃ)
季語|蚤(のみ)
三夏の季語 蚤
節足動物門昆虫綱ノミ目に属する微小な昆虫で、世界で約1800種が知られている。昆虫ではあるが翅はなく、脚が発達していてよく跳ね、その跳躍力は体長の100倍に達する。成虫は動物の血を吸って生活し、人に寄生するものとしてヒトノミも存在するが、日本では衛生状態の向上によって減少しているため、普段目にするのはネコノミやイヌノミがほとんどである。ただし、これらの蚤も、人の血を吸う。吸血部は激しい痒みを生じる。伝染病の媒介者としてもよく知られ、ネズミノミはペストを媒介する。
古くから人間と関わってきた生物であり、「蚤の心臓」など、様々な慣用句が生まれている。露天の古物市を「蚤の市」と呼んだりするが、これには、蚤がついた古着が主商品となったことに由来するとの説もある。
「のみ」の語源は、人間の血を吸うことを「飲む」と表現したところにあるとの説がある。
【蚤の俳句】
切られたる夢は誠か蚤の跡 宝井其角
季語|蝙蝠(こうもり)
三夏の季語 蝙蝠
かわほり・かはほり・蚊食鳥(かくいどり)
哺乳類翼手目に属する。世界では約1000種が知られており、日本では家蝙蝠とも呼ばれるアブラコウモリなど35種が生息している。蝙蝠は、天鼠(てんそ)や飛鼠(ひそ)とも呼ばれ、その名の通り、空を飛ぶ鼠のような生物である。夜行性の昆虫などを捕食する種類が多く、それらは視力は発達せず、超音波を用いた反響定位を行いながら飛行する。
近年では、新型コロナウイルス感染症の宿主として注目された蝙蝠であるが、その他にも狂犬病など多くの感染症のキャリアとなることでも知られている。
俳諧歳時記栞草(1851年)では夏之部兼三夏物に分類し、「夏出て冬蟄す」とある。西洋では吸血鬼のイメージと繋がる。
【蝙蝠の俳句】
蝙蝠や暮れては会へぬ人なれば 河原白朝
季語|鯰(なまず)
仲夏の季語 鯰
ナマズ目ナマズ科の魚の総称で、主にナマズと呼ばれるマナマズを指す。マナマズは、東アジアの河川や湖沼の泥底に生息する肉食性の淡水魚で、口ヒゲと幅広い口が特徴。
鯰は夏の季語になっているが、5月から6月は繁殖期にあたり、群れをなして浅い水域で繁殖活動をすることに因む。
現代日本では泥臭さを嫌って食されることは稀であるが、中国料理ではよく用いられ、日本でも、平安時代以前の古代からよく食されていたと考えられている。また、郷土料理として提供される地方もあり、養殖技術も確立されている。
水田文化との縁も深く、日本では古くから親しまれてきた魚であり、特に、ナマズが暴れて地震が起こるという俗説は有名である。
「鯰」は国字で、中国ではナマズのことを「鮎」と書く。
【鯰の俳句】
泥川の月夜に泛きぬ大鯰 青木月斗
季語|甘草(かんぞう・あまくさ・あまき)
初夏の季語 甘草
マメ科カンゾウ属の植物の総称で、ウラルカンゾウやスペインカンゾウなどがある。6月から7月ころに薄紫の花をつける。
4000年前のインドではすでに薬用として利用されており、人類史上最も古いとも言われる薬用植物である。根を乾燥させたものは生薬として利用されるほか、甘味料としても用いられる。漢方薬としては広範囲に利用される植物で、「国老」とも呼ばれた。日本へも古くから渡来し、正倉院にも保存されている。