カテゴリー: 新春
季語|伊勢海老(いせえび)
新春の季語 伊勢海老
伊勢海老は、十脚目イセエビ科に分類される海老で、房総半島以南の浅い岩礁に生息する。大きいものは40センチにも達する。海外ではロブスターの一種とみなされることがあるが、ロブスターはザリガニの一種である。
古くから伊勢の名物であったため「伊勢海老」の名が定着しているが、鎌倉蝦とか具足海老などと呼ばれることもある。また、他の種類にも用いられる「エビ」の名は、伊勢海老の特徴的な鬚を「柄鬚」とみたところからきているという説がある。
夏の産卵期は禁漁となり、冬場に旬を迎える。特に新年には、正月飾りにかかせないものとして、需要が高まる。古くから「威勢」に掛け、その甲冑をまとったような姿に「勝利」を見て、縁起物とされてきた。
【伊勢海老の俳句】
伊勢海老のどことは言はず菫いろ 角川照子
季語|若水(わかみず)
新春の季語 若水
古くは立春に天皇に奉じられた水のことをいったが、現在では元日の朝に初めて汲む水のことを指す。「若井」とは、若水を汲む井戸のこと。
若水には邪気を払う力があるとされ、神棚に供えた後に、飲んだり口を漱いだり食事に使用したりする。かつて多くの地方で、若水を汲むことは、年男の最初の仕事とされた。
万葉集にある「天橋も長くもがも高山も高くもがも 月夜見の持てる越水い取り来て 君に奉りてをち得てしかも」の「越水」は「変若水」とも書き「おちみず」と読む。これは、飲めば若返るといわれた霊薬で、ここにあるように月の神・ツクヨミが司ると言われた。このような信仰は世界中に存在しており、それが「若水」につながったと考えられる。
養老元年(717年)の詔に「醴泉は美泉なり。もって老を養うべし。蓋し水の精なればなり。天下に大赦して霊亀三年を改め養老元年と成すべし」とあり、養老の滝の水を若水として改元したと伝わる。
西行法師家集に、
とけそむるはつ若水の氷にて 春たつことのまつくまれぬる
の和歌がある。
季語|小正月(こしょうがつ)
新春の季語 小正月
元日の大正月に対して、一月十五日を小正月という。または、十四日から十六日、あるいは十五日から二十日までを小正月と言うこともある。
日本の古代の暦は、満月となる十五日が起点であったと考えられており、現在でも農業関係の儀式が多く残り、「望粥の節供」「赤小豆粥の節供」とも言う。「女正月」と言うのは、松の内に忙しかった女性が、ようやく解放されて正月気分を味わえるところからきている。
「土佐日記」や「枕草子」に記されるように、小正月の朝には小豆粥を食べる習慣がある。赤い小豆には邪気を払う力があるとされているため、小豆粥を食べて、一年の無病息災を祈るのである。
かつては、小正月に元服の儀を行っていたことから、2000年に1月第2月曜日に変更されるまでは、1月15日に成人式が行われていた。その他、小正月に行われる行事として、「左義長」や「どんど焼き」、「粥占」などがある。
【小正月の俳句】
松とりて世ごころ樂し小正月 高井几董
衰ふや一椀おもき小正月 石田波郷
季語|初漁(はつりょう)
季語|初湯(はつゆ)
新春の季語 初湯
新年になって初めて湯に入ること。正月二日に入る。産湯のこともまた初湯と言う。
「湯」の語源は「斎(ゆ)」にあると言われ、湯浴みとは、心身の穢れを濯ぎ「潔斎」の状態にすることである。
日本には、古くから湯浴みの習慣があったことが、記紀や風土記の記述から伺える。特に、「伊予国風土記」に見える伝説は、道後温泉の起源説として有名で、道後温泉が日本最古の温泉と言われる所以にもなっている。それによると、宿奈比古那(スクナヒコナ)を救うために、大穴持(オオナムチ・オオクニヌシ)が別府温泉から湯を引いてきて湯浴みさせたということになっており、古くから温泉の効用が認められていたということが分かる。
「湯水のごとく」という慣用句は、茶道具を清めるために大量の湯水を使う茶道から来た言葉だと言われるが、本来は「斎水」というのが正しいのではないだろうか。
【初湯の俳句】
初湯してうすぼんやりとおもふこと 高沢良一
【道後温泉 ふなや】
道後温泉に行くなら、ぜひ泊まりたいのがふなや。道後温泉で最も古い歴史を誇り、正岡子規はもとより、多くの文人に愛されてきた宿。特に夏目漱石には、「はじめての鮒屋泊りをしぐれけり」と詠むなど、馴染み深い宿。その句は、玄関前に句碑となっている。
季語|正月(しょうがつ)
季語|初昔(はつむかし)
【初昔の俳句】
高砂や去年を捨てつつ初昔 上島鬼貫
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