静岡県内 俳句の舞台となった旅館
修善寺温泉 湯回廊 菊屋多くの文学者の足跡が残る修善寺温泉。特に有名なのは夏目漱石。松根東洋城の勧めで療養に来て、菊屋旅館で「宮様の御立のあとや温泉の秋」「別るゝや夢一筋の天の川」などの俳句を詠んだ。しかし明治43年(1910年)8月24日に、「修善寺の大患」と呼ばれる状況に陥ってしまう。それは、漱石の文学性を大きく変えることにもつながった。菊屋旅館は2004年の台風で被害に遭い湯回廊菊屋に形を変えたが、文学の香りが漂う旅館となっている。近くの修善寺梅林内には、高浜虚子の「北に富士南に我家梅の花」、尾崎紅葉の「いかさまに霞むやと岡に渉りけり」などのゆかりの句碑もある。
修善寺温泉 国の登録文化財の宿 新井旅館静岡県内有数の名旅館である新井旅館もまた、多くの文人が訪れ、歴史を紡ぎあげてきた場所である。芥川龍之介・尾崎紅葉・泉鏡花をはじめ、多くの文人が新井旅館で執筆活動を行った。また、高浜虚子は館主と親戚同然の付き合いがあり、度々新井旅館を訪れ、句会を開催したりなどしている。明治42年7月に訪れた時には、「頼政も鵺も昔の宿帳に」(修善寺短信)と詠んでいる。川端茅舎の兄である日本画家の川端龍子は「名月荘あらゐ」の扁額を揮毫し、近くの修禅寺墓地に茅舎の墓も建てた。茅舎の「ひろびろと露曼陀羅の芭蕉かな」の句碑が墓地にある。
静岡県の御当地季語
三保祭(初春の季語)御穂神社で、2月14日から15日にかけて行われる豊作祈願の祭。筒粥祭。
三島御田打祭(初春の季語)1月7日に三嶋大社で演じられる田楽。
浅間祭(春の季語)4月5日に静岡浅間神社で行われる例大祭。古式稚児舞楽が奉納される。
三島祭(秋の季語)8月15日から17日に開催される三嶋大社の「三嶋大祭り」。
尻摘祭(冬の季語)11月10日の音無神社の例祭。暗闇で行われ、御神酒を回すときに尻をつねって合図する。