季語|ボーナス

仲冬の季語 ボーナス

年末賞与(ねんまつしょうよ)

ボーナス日本では一般的に、夏と冬にボーナス月があり、労働者に定期給とは別に賞与が支払われるが、俳句で「ボーナス」と言うと年末賞与を指し、冬の季語になる。江戸時代に奉公人に配られていた「餅代」に当たる。通常は、新年の準備に充てられる。

【ボーナスの俳句】

ボーナスを貰ひて青き芝を買ひぬ  日野草城

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季語|とんび

三冬の季語 とんび

二重廻し(にじゅうまわし)マント(まんと)・インバネス

熱海の金色夜叉像男性用の外套の一種で、コートとケープを合わせたようなデザインになっている。スコットランドのインバネス地方で生まれたとされるために、「インバネス」と呼ぶ。映画に登場するシャーロックホームズや金田一耕助が着用しているコートである。
日本には明治20年頃に伝わり、和装用コートとして独自のアレンジを加え、「二重回し」「二重マント」「とんび」「インバ」「エンバ」などと呼ばれた。「お大尽」の着衣として認識され、大正時代から昭和初期にかけて流行した。
一般的には、「インバネスコート」は袖のあるケープ付きの外套を指し、「とんび」や「二重回し」「二重マント」は袖の無いケープ付きの外套を指す。因みに「とんび」の名は、腕を広げると鳶のように見えたところからきている。

【とんびの俳句】

深夜の驛とんびの袖を振り訣れ  石塚友二



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季語|埋火(うずみび)

三冬の季語 埋火

埋火の俳句と季語灰の中に埋めた炭火の事。「いけ火」「いけ炭」「うずみ」とも言う。炭火を灰の中に埋めておくと、炭火に供給される酸素量が減少するために、火持ちがよくなる。火種を絶やさないようにするための工夫である。

【埋火の俳句】

埋火や何を願ひの独りごと  井上井月

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季語|追儺(ついな)

晩冬の季語 追儺

なやらひ鬼やらい(おにやらい)

追儺中国から伝わった、大晦日(旧暦12月30日)に邪気を祓う行事。「続日本紀」の慶雲3年(706年)の記述に「大儺」として現れるものが、国内での文献上は最も古い。
「追儺」とは、鬼を追い払うというような意味合いで、平安時代に日本独自につくられた言葉だと考えられている。元は宮中行事であったが、宮中行事としては廃れ、寺社での行事として発展し、民間では節分の豆撒などとして親しまれるようになっている。

【追儺の俳句】

山国の闇恐ろしき追儺かな  原石鼎

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季語|寒紅(かんべに)

晩冬の季語 寒紅

寒紅の俳句と季語寒中に作られた紅のこと。紅花を発酵してつくられる紅は、寒いほど鮮やかな色が出るという。よって、寒中につくられる紅は特別で、寒中の丑の日に買う紅を「丑紅(うしべに)」と呼んで、薬効などの神秘的な力があるとして珍重した。

【寒紅の俳句】

寒紅の濃き唇を開かざり  富安風生

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季語|臘八(ろうはつ・ろうはち)

仲冬の季語 臘八

臘八釈尊の成道の日、つまり釈迦が菩提樹の下で悟りを開いた日を指す。その日は臘月八日とされ、陰暦12月8日である。灌仏会・涅槃会とともに釈迦の三大法会と言われる「成道会(じょうどうえ):臘八会(ろうはつえ)」が行われ、臘八粥を食す。臘八粥は、長者の娘(スジャータ)が捧げ、釈尊が体力を回復させたとされる乳糜に見立てたものである。
元は中国古来の五穀豊穣を祝い、春節を迎える準備をする日だったとも考えられており、陰暦12月8日を「臘八節(ろうはちせつ)」という。

【臘八の俳句】

臘八の庭師も粥に召されけり  松田月嶺

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季語|龍の玉(りゅうのたま)

三冬の季語 龍の玉

蛇の髯の実(じゃのひげのみ)・竜の髯の実(りゅうのひげのみ)

龍の玉キジカクシ科ジャノヒゲ属ジャノヒゲの実のこと。「蛇の髯の実」「竜の髯の実」ともいう。万葉集に「山菅の実(やますげのみ)」として歌われているとの説があり、大伴坂上郎女の和歌に

山菅の実ならぬことを我れに寄せ 言はれし君は誰れとか寝らむ

がある。
全国の森林に自生する常緑の多年生草本で、病害虫などにも強く、グランドカバーとして庭などにもよく植えられる。「龍の玉」と呼ばれる実は、10月から3月頃まで見られる。

【龍の玉の俳句】

去ることのさみしさ言はず龍の玉  広瀬みちよ

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季語|東菊(あずまぎく)

晩春の季語 東菊

東菊キク科ムカシヨモギ属アズマギクは、本州の中部以北の草原に見られるために、東日本の菊という意で「東菊」と呼ばれる。群生し、4月から7月くらいに花をつける。キク科シオン属の園芸品種である都忘れのことを「東菊」と呼ぶこともある。

【東菊の俳句】

湯がへりを東菊買うて行く妓かな  長谷川かな女

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|都忘れ(みやこわすれ)

晩春の季語 都忘れ

都忘れ「都忘れ」とは、キク科シオン属ミヤマヨメナの園芸品種で、4月から6月頃に紫・桃・白などの花を咲かせる。野生種のミヤマヨメナ(深山嫁菜:別名に野春菊)は本州から九州に自生し、栽培され始めたのは江戸時代からだと考えられている。
「都忘れ」は不稔性で、株分けによって増殖させる。
「都忘れ」の名は、承久の乱の後に佐渡に流された順徳天皇が、この花を愛でながら都を忘れようとしたところから来ている。その順徳天皇の和歌に、

いかにして契りおきけん白菊を 都忘れと名付くるも憂し

がある。乱の中心人物であり、父である後鳥羽上皇が好んだ白菊への、複雑な感情が表れている。

【都忘れの俳句】

雑草園都忘れは淡き色  高浜年尾

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|勿忘草(わすれなぐさ)

晩春の季語 勿忘草

勿忘草勿忘草は、ムラサキ科ワスレナグサ属の植物の総称で、中でもシンワスレナグサのことを指すことが多い。ただし、園芸種でワスレナグサとして流通しているのは、ノハラワスレナグサの場合が多い。
ヨーロッパ原産で、日本には先ず、ノハラワスレナグサが明治時代に入ってきた。現在では野生化し、全国の湿地帯に広がって、4月から6月頃にさそり型花序の花をつける。

「勿忘草」の名は、中世ドイツの伝説から来ている。それによると、騎士ルドルフは恋人のためにドナウ川に咲くこの花を摘もうとしたが、川に飲み込まれた。流されながらも花を岸に投げ、「忘れないでくれ」と言って亡くなった。恋人は、墓にその花を捧げ、「Vergissmeinnicht(勿忘草)」の名をつけたという。欧米では友愛や誠実の象徴となっており、花言葉は「真実の愛」「私を忘れないで下さい」である。

【勿忘草の俳句】

シヤンソンを聴く薄明の勿忘草  きくちつねこ

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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