晩夏の季語 昼花火
昼間専用の打ち上げ花火。秋の季語とされることもある。色煙によって空を彩るものと、通知目的でよく使用される音花火がある。大曲全国花火競技大会における昼花火が有名。
▶ 関連季語 花火(夏)
【昼花火の俳句】
昼花火天の裂目にひびきわたる 山口誓子
昼間専用の打ち上げ花火。秋の季語とされることもある。色煙によって空を彩るものと、通知目的でよく使用される音花火がある。大曲全国花火競技大会における昼花火が有名。
▶ 関連季語 花火(夏)
昼花火天の裂目にひびきわたる 山口誓子
「梅雨茸」という種類のキノコがあるということではなく、梅雨の時期に見られるキノコの総称である。キノコとは、カビと同じ糸状菌がつくる子実体や担子器果をいう。キノコは湿気を好むため、梅雨時には目にすることが多く、タマゴタケやテングタケなどが見られる。
▶ 関連季語 黴(夏)
▶ 関連季語 梅雨(夏)
梅雨茸の育つ暗さに踏入りて 稲畑汀子
3月中旬から4月上旬の、菜の花の盛りのころ、雨が続くことがある。これを菜種梅雨という。主に太平洋側の地方で見られるものであり、東北や北海道では起こりにくい。様々な花を咲かせる雨という意味で、「催花雨(さいかう)」とも呼ばれる。
▶ 関連季語 梅雨(夏)
菜種梅雨かなたの母がまた縮む 坪内稔典
カサゴ目コチ亜目のマゴチ・メゴチ・ワニゴチ・ウバゴチや、スズキ目ネズッポ亜目のネズミゴチ・ヨメゴチなど、平たい体で腹ばいになって生活する海水魚を総称して「鯒」と呼ぶ。代表的なものは「マゴチ(真鯒)」であり、1メートル近くにまで成長するものもある。
マゴチは、東北以南の水深30mまでの海底で、砂泥に擬態して小魚などを捕食して生活する。産卵期である夏には、海岸近くに寄ってくる。暑い盛りが旬で、高級魚として刺身や天ぷらなどにして食される。
公家が正装した時に持つ「笏(しゃく:こつ)」に形が似ていることから、「こつ」と呼ばれたものが転訛した。
鯒釣るや濤声四方に日は滾る 飯田蛇笏
小さい亀や、子供の亀のことを「亀の子」と言う。中でも「銭亀」は、クサガメやニホンイシガメの幼体のことで、甲羅が江戸時代の硬貨に似ているところから名がついた。
クサガメやニホンイシガメは夏場に産卵し、秋に孵化する。そのため、夏の季語として「亀の子」と呼ばれるものは、概ね前年に孵化した体長10センチに満たない幼体を指すことになる。
外来種であるミドリガメの子は、夜店の屋台でよく売られていた。しかし、動物虐待の観点や、大きくなって湖沼などに放たれたものが、生態系に悪影響を及ぼすことから、現在ではほとんど見かけなくなった。
季語ではないが、幼児を背負う時に羽織る綿入れや、亀の甲羅のことも「亀の子」と呼ぶ。また、形状が似ているところから名がついた「亀の子たわし」もある。
銭亀のいづれ分たず転倒す 上田五千石
夕方に起こる海辺の無風状態のことで、日没から22時ころまで続くことがある。好天時には、陸と海の気温差のために、日中は海風、夜間は陸風が吹く。朝夕は、その切り替わり時に当たり、風が止まる時間帯がある。特に、海陸の温度差が大きくなる夏に顕著に表れる。
「夕凪」は万葉集の時代から歌われ、新勅撰和歌集に歌われた藤原定家の
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに やくや藻塩の身もこがれつつ
は、小倉百人一首97番になっている。
大正時代頃から季語になったと言われており、下記の子規の俳句も、通常は「三日月」で秋ととるが、現代では、「夕凪」の夏ととらえた情景の方が馴染みやすいだろう。
夕凪や三日月見ゆる船の窓 正岡子規