季語|ダリア(だりあ)

晩夏の季語 ダリア

ダリヤ(だりや)天竺牡丹(てんじくぼたん)

ダリアキク科ダリア属の多年生草本植物の総称で、花は6月から7月が最盛期であるが、11月頃まで咲く品種もある。ダリアの原種はピンナタ、コッキネアなど数種。園芸品種は数万種にのぼり、最も多くの品種を持つ植物のひとつ。
園芸品種は、花の大きさや草丈などで分類されるが、花の形による分類では「シングル咲き」「ポンポン咲き」「アネモネ咲き(丁字咲き)」「デコラティブ咲き(八重)」「カクタス咲き(八重で花びらが巻く)」「ピオニー咲き(波打つ八重咲き)」「オーキッド咲き(花びらが巻く)」「コラレット咲き(2種の花びら)」がある。

メキシコ原産で、メキシコの国花である。アステカでは、ダリアは神聖な花とされていた。
日本へは、1842年(天保13年)にオランダから長崎に持ち込まれ、花が牡丹に似ていることから「天竺牡丹」と呼ばれた。

「ダリア」の名は、スウェーデンの植物学者「Dahl(ダール)」に因む。ダールは、1789年にダリアの種がメキシコからマドリード植物園に持ち込まれた時、栽培を成功させた人物である。

【ダリアの俳句】

あつき名や天竺牡丹日でり草  正岡子規

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季語|槐の花(えんじゅのはな)

晩夏の季語 槐の花

花槐(はなえんじゅ)

槐の花の俳句と季語マメ科エンジュ属エンジュは、中国原産の落葉高木。日本へは、仏教の伝来とともに渡来したとの見方がある。街路樹として植えられ、東京ではプラタナス・イチョウに次いで多い。7月から8月頃に小さな花がたくさん咲く。
花は「槐花(かいか)」という止血効果のある生薬になる。

中国では朝廷の庭に植えられて宮廷高官である三公の座位を示したことから「出世の木」とされ、日本でも縁起の良い木とされる。源実朝の「金槐和歌集」は、「金」で鎌倉を表し、「槐」によって右大臣の位を指し示している。

「槐(えんじゅ)」の語源は「恵爾須(えにす)」であり、槐の種子の呉音である「槐子(えす)」から来ている。縁起が良い樹として「延寿」の字が当てられ、「槐」も「えんじゅ」と読むようになった。
「槐」の漢字は、魔除けのために鬼門に植えられたことを表している。

醍醐天皇が雷を嫌ったために、空海は雷避けのために槐を加茂川東岸に植えたという。

【槐の花の俳句】

又しても槐の花のゆらぎかな  岡井省二

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季語|月下美人(げっかびじん)

晩夏の季語 月下美人

月来香(げつらいこう)・女王花(じょおうか)

月下美人サボテン科クジャクサボテン属ゲッカビジンは、メキシコ原産のサボテンの一種。日本では6月から10月頃、一晩のみ花をつけ、ジャスミンに似た芳香を漂わせる。コウモリを呼び寄せる哺乳類媒花である。
原種は白花で、園芸品種には赤や桃色などもある。日本へは、大正時代の末に渡来してきた。1980年代以前に国内に流通していたものは、1株の原種からのクローンだったため果実ができなかったが、現在流通しているものの中には果実ができるものがあり、「食用月下美人」と呼んでドラゴンフルーツに似た赤い果実を食す。因みに、花も食すことができる。

「月下美人」は、夜間に美しく咲く花を形容した名であるが、昭和天皇が皇太子として台湾を訪れた際、当時の台湾総統が「月下の美人」と紹介したことから、「月下美人」という名が定着したという。
1年に1度しか咲かないと流布されてきたが、2回以上咲くことがある。また、満月の夜にしか咲かないというのも間違いである。

【月下美人の俳句】

月下美人力かぎりに更けにけり  阿部みどり女

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季語|松葉牡丹(まつばぼたん)

晩夏の季語 松葉牡丹

日照草(ひでりぐさ)・爪切草(つめきりそう)

松葉牡丹スベリヒユ科スベリヒユ属マツバボタンは、南アメリカ原産の一年草で、オランダ経由で江戸時代末期に渡来した。
6月から9月頃に赤・橙・桃・黄・白色などの花をつける。八重咲きが多いが、一重もある。一つの花は数日で萎むが、夏の間、次から次に咲く。多肉質の葉を持ち、高温乾燥に強い。

葉を松に、花を牡丹に見立てて「松葉牡丹」と名付けられた。炎天下にも咲くので「日照草」、茎を切って土に挿すと簡単に根付くので「摘切り草」転じて「爪切草」とも呼ばれる。

【松葉牡丹の俳句】

小豆干し松葉牡丹はまだ燃えて  清崎敏郎

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季語|萱草の花(かんぞうのはな)

晩夏の季語 萱草の花

萱草(かんぞう)黄花萱草(きばなかんぞう)忘草(わすれぐさ・わするるくさ)

萱草の花の俳句と季語萱草とは忘草の中国名で、主に中国原産のヤブカンゾウを指す。ヤブカンゾウは、ススキノキ科ワスレグサ属ワスレグサの一品種で、有史以前に渡来したものが本州以南の野原や薮などに群生している。7月頃に花を咲かせ、一つの花は一日で萎む。
ワスレグサにはノカンゾウやハマカンゾウもあり、これらも「萱草」として詠んで差し支えはない。また、分類範囲をワスレグサ属まで広げると夕菅も「忘草」であり、ゼンテイカと呼ばれる日光黄菅も「萱草」と詠むことがある。

中国では、若草を食べると酔って憂を忘れると言われ、この花を持っていると辛いことを忘れることができると信じられた。そのことから日本では「忘草」と呼ばれ、万葉集に「わすれぐさ」で5首が載る。大伴旅人には次の和歌がある。

忘れ草我が紐に付く香具山の 古りにし里を忘れむがため

また、萱草の「萱」は元々、忘れることを意味する「諼」であったとの説もある。
ただし、「忘草」として「夏水仙」や「煙草(植物)」を指すこともあるので注意が必要である。

【萱草の花の俳句】

萱草や浅間をかくすちぎれ雲  寺田寅彦

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季語|夕菅(ゆうすげ)

晩夏の季語 夕菅

黄菅(きすげ)

夕菅ススキノキ科ワスレグサ属ウコンカンゾウの変種。本州から九州の山地に育つ日本原産の多年草で、6月から8月頃に百合に似た黄色い花を咲かせ、「黄菅」とも呼ばれる。
夕方から翌日の午前中まで花を咲かせる。虫媒花で、スズメガを呼ぶ。葉が「スゲ(萓)」に似て、夕方から咲き始めることから「夕菅」の名がついた。

近縁種にススキノキ科ワスレグサ属ゼンテイカがあり、「日光黄菅」と呼ばれている。5月から7月頃に咲き、こちらも晩夏の季語になっている。

▶ 関連季語 萱草の花(夏)

【夕菅の俳句】

夕菅は胸の高さに遠き日も  川崎展宏

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季語|百日草(ひゃくにちそう)

晩夏の季語 百日草

百日草の俳句と季語 キク科ヒャクニチソウ属ヒャクニチソウは、メキシコ原産の一年草で、日本へは1862年頃に一重咲きのものが渡来し、その後アメリカから八重咲などの園芸種が持ち込まれ、花壇などによく植えられている。白・赤・紫・黄色など、様々な色の花を5月から10月頃に咲かせる。
開花期間が長いことから「百日草」と名付けられた。また、花の寿命が長いことから浦島草とも呼ばれる。一つの花は二週間ほど咲き続けるため、長期間楽しむことができる。別名のジニアは、ドイツの植物学者の名に因んで植物分類学を確立したリンネが名付けた。

両性である筒状花を囲むように、花びらに見える雌花が咲く。原種は、黄色い筒状花を囲むように赤紫の一重の花を咲かせる目立たないものだとされる。現在では「ダリア咲き」「ポンポン咲き」などの品種も人気となっている。
高温乾燥に強いことから、盆を中心とした仏前花として広まった。

【百日草の俳句】

蝶歩く百日草の花の上  高野素十
これよりの百日草の花一つ  松本たかし

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季語|グラジオラス(ぐらじおらす)

晩夏の季語 グラジオラス

唐菖蒲(とうしょうぶ)

グラジオラスの季語と俳句アヤメ科グラジオラス属の植物の総称で、原産地は地中海沿岸や熱帯アフリカなど。春植え球根の代表で、6月から8月頃、赤・白・紫・黄色など、色鮮やかな花をつける。長い穂先の片側だけに花を並べたように咲かせるものが多い。
日本へは江戸時代末期に渡来したが、栽培がうまくいかず、明治時代になって再渡来した。
別名に、唐菖蒲(とうしょうぶ)・阿蘭陀菖蒲(おらんだしょうぶ・おらんだあやめ)。グラジオラスの名は、葉が剣に似ていることから、古代ローマでの剣の呼び名「グラディウス」から来ている。

【グラジオラスの俳句】

グラジオラス一方咲きの哀れさよ  村山古郷

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季語|サルビア(さるびあ)

晩夏の季語 サルビア

緋衣草(ひごろもそう)

サルビアの季語と俳句シソ科アキギリ属サルビアは、ブラジル原産で明治時代に渡来した。本来は多年草であるが、寒さに弱いため、日本では一年草となる。花期は5月から10月にわたり、秋の季語に分類されることもある。公園の花壇によく植えられ、赤い花を咲かせるが、白や紫の品種もある。
サルビアは長い花筒を持っており、それを抜き取れば人でも蜜を吸うことができる。この形態は、ハチドリによる鳥媒を促すためであり、虫を呼び寄せないために赤い花を咲かせるとの説もある。

かつては、同じシソ科アキギリ属の「ヤクヨウサルビア」もサルビアと呼ばれていたが、現在では「セージ」と呼ぶことが多い。「サルビア」として詠んでも差し支えはないが、季語となる「サルビア」は、一般的には赤色の花を咲かせるシソ科アキギリ属サルビアの一種「スプレンデンス」である。

「サルビア」の名はラテン語の「salvus(健康・安全)」を語源とし、「来路花」の漢字が当てられる。標準和名はヒゴロモソウ(緋衣草)である。

【サルビアの俳句】

老の身をサルビヤの火の中におく  山口青邨
サルビアの花には倦むといふ言葉  稲畑汀子

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季語|片蔭(かたかげ)

晩夏の季語 片蔭

片陰(かたかげ)日蔭(ひかげ)日陰(ひかげ)

片蔭の季語と俳句「片蔭」とは、道の片側に陰が生じることである。「片かげり」ともいう。
「片蔭」「日蔭」を詠む時、俳句では午後の風景となる。太陽が西に廻るとともに暑さが増し、人々は涼しい日陰を求めるようになる。そうすると、人は道の片側に寄って行くようになる。

【片蔭の俳句】

片蔭や滅びし寺の名の町の  野中亮介

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