俳句

神奈川県の季語と俳句

神奈川県内 俳句の舞台となった旅館

箱根湯本温泉 天成園

この地をよく訪れていた荻原井泉水が「天成園」と名付けた宿であり、各部屋の名を決め、揮毫したのも井泉水であった。庭園内にある玉簾の瀧には、井泉水の「瀧は玉だれ天女しらぶる琴を聞く」の句碑がある。富安風生はここで「春の滝その美しき名に適ふ」と詠んでいる。与謝野晶子の歌碑もある。

神奈川県の御当地季語

遊行寺の札切(新春の季語)
1月11日に清浄光寺(遊行寺)で、一遍上人が刻した六字名号の札を刷って截つ行事。

鶴岡八幡宮御璽頂き(新春の季語)
1月1日から7日まで鶴岡八幡宮で行なわれる「御判行事」。

ちゃっきらこ(新春の季語)
三浦市三崎の仲崎・花暮地域に伝わる小正月の伝統行事。ユネスコの無形文化遺産。

鎌倉海老(新春の季語)
鎌倉の沖で獲れる伊勢海老。

湯立獅子(春の季語)
仙石原諏訪神社で、3月27日に湯立獅子舞(湯立神楽)が奉納される。

箱根空木の花(夏の季語)
スイカズラ科の落葉低木。海岸近くに自生するが、箱根には自生していない。静岡県に多く、かつては箱根が産地だと誤認されていた。

箱根山椒魚(夏の季語)
全国に分布するが、箱根で採集した標本が学名の制定に寄与したことから、箱根の名を冠するようになったと考えられている。

大山祭(夏の季語)
大山阿夫利神社の夏季大祭で、7月27日から8月17日まで開催される。大山詣とも言う。

鶴岡祭(秋の季語)
鶴岡八幡宮の9月14日から16日に開催される例大祭。

三浦大根(冬の季語)
練馬の交配種がベースとなっていて大きい。大正14年から東京市場に出荷されて「三浦大根」の名がついた。

時宗歳末別時(冬の季語)
11月18日から28日まで清浄光寺(遊行寺)で行われる念仏修行。

神奈川県を詠んだ俳句

目には青葉山ほととぎす初がつお 山口素堂
現在でも慣用句になっている有名句。「かまくらにて」の前書がある。延宝6年(1678年)に鎌倉材木座海岸で詠まれた。

箱根こす人もあるらしけさの雪 松尾芭蕉
貞享4年(1687年)12月4日、門人に招かれて、名古屋で詠まれた。

あま酒の地獄もちかし箱根山 与謝蕪村
明和5年(1768年)6月8日、「一夜酒」の兼題で詠まれた。甘酒は箱根の「笈の平」の名物。

鐘つけば銀杏散るなり建長寺 夏目漱石
「海南新聞」1895年(明治28年)9月6日号初出。正岡子規の「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の元になった俳句。

鎌倉を驚かしたる余寒あり 高浜虚子
「五百句」に「大正三年二月一日 虚子庵例会」とある。虚子は、1910年から鎌倉に住んだ。