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西東三鬼 

電工や雲雀の空に身を縛し 
暗く暑く大群衆と花火待つ 
モナリザに仮死いつまでも金亀子 
まくなぎの阿鼻叫喚をふりかぶる 
水枕ガバリと寒い海がある  (旗)
麦熟れてあたたかき闇充満す 
百舌鳥に顔切られて今日が始まるか 
限りなく降る雪何をもたらすや 
赤き火事哄笑せしが今日黒し 
鏡餅暗きところに割れて坐す 
一波に消ゆる書初め砂浜に 
獅子頭背にがつくりと重荷なす 
初釜のたぎちはげしや美女の前 
落葉して木々りんりんと新しや 
月光のつらら折り持ち生き延びる 
首かしげおのれついばみ寒鴉 
洞窟に湛え忘却の水澄めり 
生創に蠅を集めて馬帰る 
若き蛇跨ぎかへりみ旅はじまる 
中年や遠くみのれる夜の桃 
春を病み松の根つ子も見飽きたり 
船欄に夜露べつとり逃ぐる旅 
太陽へ海女の太腕鮑さげ 

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