霧 click ⇒ ≪解説≫
霧黄なる市に動くや影法師 夏目漱石落葉松は霧を淋しと立ち揃ふ 富安風生鐘ついて十万億土霧うごく 福永法弘壺の国信濃を霧のあふれ出づ 平畑静塔駈けくるごと霧の電線びゆんびゆんと 加藤楸邨海燕霧の停船夜となりぬ 橋本多佳子霧見えて暮るゝはやさよ菊畑 中村汀女霧にほひ岩の温泉白くにごりたり 水原秋桜子白樺の霧にひびける華厳かな 川端茅舎白樺に霧の宿への道しるべ 水原秋桜子御座舟や霧間もれたる須磨明石 松江重頼霧の火口茫々と影のなきおのれ 山口草堂人発ちし跡すぐ霧の襲ひけり 長谷川零余子霧晴れて川沿ひ霧の寒さかな 河東碧梧桐中天に並ぶ巌あり霧の奥 正岡子規於々峠吐息の霧に富士はなし 池西言水秋霧に河原撫子見ゆるかな 小林一茶霧晴れて高砂の町まのあたり 与謝蕪村夢返せ烏の覚ます霧の月 上島鬼貫霧の中別れ言はずに別れけり 徳田千鶴子霧いかに深くとも嵐強くとも 高浜虚子
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