俳句

季語|ミモザ

初春の季語 ミモザ

銀葉アカシア(ぎんようあかしあ)

ミモザミモザは、オーストラリア原産のマメ科アカシア属の植物の俗称で、主にフサアカシアを指す。本来は、マメ科オジギソウ属の植物の総称で、葉の形がよく似ていることから、フランスで誤用されて「ミモザ」の名が定着した。オジギソウの葉は、刺激によって閉じていくことから、身ぶりを主体とする劇「mimos」に因んで「ミモザ」と呼ばれていたが、アカシア属の植物にはそのような特徴はない。
夏の季語にアカシアの花があるが、これはマメ科ハリエンジュ属ニセアカシアである。本来は「ミモザ」と呼ばれるアカシア属のフサアカシアなどを「アカシア」と呼ぶべきであるが、日本では定着していない。
なお、ミモザとして華道で使われるのは、ハナアカシアとも呼ばれる「ギンヨウアカシア」であることが多い。葉が銀色を帯びている。

フサアカシアは、明治時代初期に渡来した。2月から4月頃に、香りのよい黄色い花をつける。
イタリアには「ミモザの日」があり、女性の日として、男性が女性に感謝の気持ちを込めてミモザをプレゼントすることになっている。

【ミモザの俳句】

ミモザ咲くベスビオの山曇る日は  有働亨

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季語|クロッカス

初春の季語 クロッカス

クロッカスアヤメ科クロッカス属の総称で、俳句の世界では「クロッカス」として春の季語、「サフラン」として秋の季語になる。つまり、クロッカスは秋に植えて2月から4月に花を咲かせる春咲き品種の「春咲サフラン」である。ただし、秋に咲く「サフラン」という品種がスパイスに用いられるのに対し、「春咲サフラン」は観賞用のみに栽培される。
原産地は地中海沿岸から小アジアで、明治時代初期に渡来した。
語源はギリシア神話にあり、ニンフに恋して死んだ美青年クロコスが花になったものとも、カウカソス山に縛られたプロメテウスの血から生じたとも言われている。バレンタインの頃に咲くため、イギリスでは「バレンタインの花」ともされている。

【クロッカスの俳句】

クロッカス光を貯めて咲けりけり  草間時彦

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季語|山茱萸の花(さんしゅゆのはな)

初春の季語 山茱萸の花

春黄金花(はるこがねばな)

山茱萸の花ミズキ科ミズキ属サンシュユは、中国・朝鮮半島原産で、江戸時代享保年間に薬用植物として渡来した。花期は2月から3月頃で、若葉が出る前に黄色い小花をたくさんつける。秋になる果実は「山茱萸」という生薬にされ、頻尿などの改善に用いられる。
「茱萸」は中国語でグミのことで、「山茱萸」は山になるグミの意。「やまぐみ」と呼ぶこともある。

【山茱萸の花の俳句】

山茱萸の花完結のなく続く  後藤夜半

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季語|蕗の薹(ふきのとう)

初春の季語 蕗の薹

蕗の薹キク科フキ属フキは、「蕗」や「蕗の葉」として夏の季語になるが、1月から3月頃に見られる若い花茎は、「蕗の薹」として春の季語になる。フキは食用として栽培されるが、全国の湿り気の多い場所に自生する植物でもある。
フキは雌雄異株であるため、蕗の薹にも雌雄がある。雌株はややまばらに蕾が集まり、糸くずのような雌しべが白く見えるのに対し、雄株は黄みを帯びた花が密集しているように見える。通常、「蕗の薹」は蕾の状態で収穫され、山菜として供される。食味は、雄株の方が苦みが強く、より蕗の薹らしさを感じられる。

植物学者の伊藤篤太郎博士は、1904年の時事新報に「冬の七艸」のひとつとして蕗の薹を挙げている。他の6つは、「福寿草」「節分草」「雪割草」「寒葵」「寒菊」「水仙」である。
俳諧歳時記栞草(1851年)に「貞享式」の引用で、「中古の式目には、蕗のたふも蕗の花も同く春に用ひたれど、此名は例の賞玩より、むら消の雪にむすぶとも、蕗のたふは冬と定むべし。しかれども蕗花は、漢には賈島が春雪の詩より、春とはいはんも宜なれど、その名はさして俳諧の用なし。但し蕗の芽は春にして、一物二用の例といふべき也」とある。

【蕗の薹の俳句】

埋火や野辺なつかしき蕗の薹  早野巴人

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季語|金縷梅(まんさく)

初春の季語 金縷梅

金縷梅マンサク科マンサク属マンサクは、北海道から九州に自生する落葉小高木で、1月から3月頃に、房状に個性的な芳香のある花をつける。庭木としてもよく植えられる。赤花の品種などもある。
「満作」「万作」とも書き、たくさん花をつけると豊作になるとの言い伝えから「万年豊作」が語源になっているとの説や、花がたくさん咲くところから「満咲き」を語源とするなどの説がある。また、早春に咲くことから、「まず咲く」が語源になっているとの説もある。
多くの花が眠っている早春に咲くことから、「ときしらず」の別名もある。

【金縷梅の俳句】

まんさくのすつかり咲いてしまひけり  片山由美子

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季語|古草(ふるくさ)

初春の季語 古草

古草若草の中に残る前年の枯草のこと。万葉集に東歌で

おもしろき野をばな焼きそ古草に 新草まじり生ひは生ふるがに

がある。

近年ではインターネット上に「草」があふれているが、これは「笑い」を意味する俗語。「warai」を短縮した「w」で表現していたが、これを重ねた「wwwwww」が草のように見えるところから「草」が使われるようになった。よって、「笑える」を「草生える」と表現する。

【古草の俳句】

古草も妹が垣根に芳しや  高浜虚子

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季語|海苔(のり)

初春の季語 海苔

江戸自慢三十六興品川海苔(国立国会図書館オンライン)藻類を食用として加工した海苔は、古くは「紫菜」とか「神仙菜」と呼ばれていた。「のり」の語源は、滑った様を表す「ぬら」だと言われ、かつては、岩場などに繁殖した藻類のことを指していた。
その藻類で板海苔に適するのは、アマノリ類の岩海苔である。青のりなどのふりかけ海苔には、アオサも使用される。また、川海苔として食されるカワノリもあるが、これは夏から秋に採られるものである。
韓国の中世の文献にも「海苔」らしきものが記載されているが、現在の「韓国海苔」は、日韓併合期に日本の味付け海苔が伝わり、現地風にアレンジされたものだと言われている。

暖かい時期には糸状体の形で貝殻に住み着いていた海苔が、水温が下がる秋に殼胞子となって飛び出し、発芽して葉状体となる。この葉状体が海苔である。現在の海苔の養殖は、10月に海苔網を張り、秋から初春にかけて収穫される。

海苔は、常陸国風土記や出雲国風土記にも登場しており、大宝2年(702年)の大宝律令では、租税の対象として記載されている。江戸時代になると養殖も行われ、紙を漉く技術を応用して「浅草海苔」が生まれ、現在の板海苔が生まれた。
海苔の形態としては、上記の板海苔のほかに、生海苔、味付け海苔などがある。
品川沖は品川海苔の産地であり、画像のような錦絵も描かれている。これは、「江戸自慢三十六興」に描かれた「品川海苔」(歌川広重)である。現在の産地は有明海や瀬戸内海であり、佐賀県は全国一の生産量を誇る。

万葉集には「縄海苔」が出てくるが、細長い海藻である海素麺のこととも言われている。引っ張って採ることから「たぐり寄せる」の意を含み、作者不詳で

海原の沖つ縄海苔うち靡き 心もしのに思ほゆるかも

などの和歌がある。

【海苔の俳句】

ゆく水や何にとどまるのりの味  宝井其角

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季語|バレンタイン

初春の季語 バレンタイン

バレンタインデー

季語と俳句でバレンタイン聖バレンタインデー・バレンタインの日ともいう、毎年2月14日に行われるカップルの愛の誓いの日。
士気を高揚させるために結婚を禁止した皇帝クラウディウス二世に背いて、陰で結婚式を取り仕切っていたバレンタインが処刑された日(西暦269年)である。かつてローマでは、この日を結婚の女神・ユーノーの祝日としており、見せしめのためにその日に処刑が行われたという。
2月14日から始まる異教の祭りをキリスト教的に受け入れるために、バレンタイン司教の殉教の故事を利用したとの説もある。

西欧では、様々な贈り物を恋人や親しい人に贈るが、チョコレートも贈るようになったのは、19世紀後半のイギリスだと言われている。日本のバレンタインデーの習慣は独特のものであり、宗教的要素は薄く、チョコレートの販売促進活動が実を結んだ行事と言える。
1936年には、神戸のモロゾフ製菓が「あなたのバレンタインにチョコレートを贈りましょう」との広告を出稿。1958年には、東京のメリーチョコレートカムパニーが仕掛け、男性から女性へ贈り物をする習慣がなかった当時の状況を鑑みて、「一年に一度、女性から愛を打ち明けていい日」というキャッチコピーをつけた。定着したのは1970年代後半で、チョコレートの売り上げが落ちる2月を乗り切るための好材料となった。

現在の日本では習慣化したものとなっており、愛の伴わない「義理チョコ」が多く出回るが、それを「本命チョコ」と信じるのは、男性の悲しい性である。
また、バレンタインデーのお返しに、男性から女性に贈り物をするホワイトデーが、3月14日に儲けられている。これは西洋には見られないもので、日本的な行事である。

【バレンタインの俳句】

バレンタインデー片割れの貝ばかり  辻田克巳

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季語|片栗の花(かたくりのはな)

初春の季語 片栗の花

堅香子の花(かたかごのはな)

季語と俳句で片栗の花ユリ科カタクリ属に属する50年ほど生きる多年草で、万葉集に大伴家持が歌った

もののふの八十娘子らが汲み乱ふ 寺井の上の堅香子の花

の「堅香子(かたかご)」は片栗のことだと言われている。この「かたかご」が「かたかごゆり」となり、「かたくり」に転訛したと考えられている。
旧正月の頃に花をつけるため、初百合とも呼ばれる。ただし、山地では6月頃まで花は残っている。花は普通は紫であるが、シロバナカタクリと呼ばれる白色のものもある。ニリンソウなどとともに群生をつくり、「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と呼ばれている。

カタクリは、春先から初夏の2か月ほどしか地上に現れず、一年の大半を土中の鱗茎として休眠する。そのため、花を咲かせるための栄養を蓄積するまでに時間がかかり、種子の発芽から花を咲かせるまでに10年近くの歳月を要する。
良く知られている片栗粉は、もともとはこの片栗の鱗茎を日干して抽出したもので、滋養など様々な薬効が知られていた。しかし採れる量が少ないため、現在ではそのほとんどがジャガイモなどから精製されており、薬効も認められない。

【片栗の花の俳句】

日をかけて咲く片栗の蔭の花  馬場移公子

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季語|冴返る(さえかえる)

初春の季語 冴返る

冴返るの俳句と季語春先、暖かくなり始めた頃に急に寒さが戻ることがある。「寒の戻り」と言ったり「凍返る」と言ったりもする。関連季語に「余寒」がある。
和歌に由来する季語であり、藤原為家が

さえかへり山風あるる常盤木に 降りもたまらぬ春の沫雪

と歌っている。また謡曲八島に、「思いぞ出づる昔の春 月も今宵に冴えかえり」と、義経の幽霊が現れる。

【冴返るの俳句】

三日月はそるぞ寒はさえかへる  小林一茶
人に死し鶴に生れて冴え返る  夏目漱石

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