カテゴリー: 晩冬
季語|寒造(かんづくり)
晩冬の季語 寒造
「寒造」とは、12月から2月頃に造られる日本酒の仕込み方法である。現在では、一年を通じて日本酒を醸造する「四季醸造」に相対する言葉として用いられることがある。
かつての酒は四季それぞれに造られ、冬場につくられるものを「寒酒」といった。貯蔵方法が改善され、日持ちする酒が造られ始める中で、1667年に伊丹で、「寒造り」が確立された。1673年には、酒の腐敗による米の無駄遣いなどを防止するために、幕府によって「寒造り令」が発令されて、酒造りは冬場に行われるものとなった。これは、農閑期を利用した杜氏集団が形成されることにつながったとも言われている。
【寒造の俳句】
奥深きその情けこそ寒づくり 西山宗因
並蔵はひびきの灘や寒作り 宝井其角




季語|風花(かざはな)
季語|潤目鰯(うるめいわし)
季語|氷(こおり)
三冬の季語 氷
気温が氷点下(通常気圧で摂氏0度)まで下がると、氷ができる。一年で最も気温が下がるのは寒の頃であり、その頃に目にすることが多いため、「氷」は晩冬の季語となる。なお、「初氷」も季語となり、こちらは初冬の季語となる。また、「薄氷」は初春の季語である。
「夏氷」の季語もあるが、こちらは涼をとるために食す氷のこと。単に「氷」と言った場合は、大地が生み出す冬の自然現象に因るものである。
「氷」の読みには「こほり」と「ひ」があるが、古くは、「こほり」は水面に生じたものを指し、「ひ」は塊りのものを主に指した。蝉の翅のように薄いものは「蝉氷(せみごおり)」、川底などに綿のようにできるものを「綿氷(わたごおり)」、氷面が鏡のようになったものを「氷面鏡(ひもかがみ)」と言ったりする。
俳諧歳時記栞草(1851年)には、寒さで氷が音を立てる「氷の声」、氷が水を覆う様をいう「氷の衣」、固く凍り付いた様をいう「氷のくさび」、池に花のようにできた「氷の花」が載る。
万葉集には大原櫻井真人の
佐保川に凍りわたれる薄ら氷の 薄き心を我が思はなくに
や、詠み人知らずの
春立てば消ゆる氷の残りなく 君が心は我に解けなむ
などがある。
「氷」が使われた慣用句には、「氷山の一角」などがある。
よく知られた諏訪湖の「御神渡り」は、湖面が氷結して膨張した折に、大音響とともに氷の亀裂が走る現象で、諏訪大社上社の男神が下社の女神のもとへ通った跡だと言われている。
上の画像は「新形三十六怪撰 やとるへき水も氷にとぢられて今宵の月は空にこそあり 宗祇」(月岡芳年:国立国会図書館オンライン)。氷っているために、本来あるべき水月がなく、月の実体を疑う歌である。
【氷の俳句】
蝶墜ちて大音響の結氷期 富澤赤黄男
悪女たらむ氷ことごとく割り歩む 山田みづえ




季語|雪達磨(ゆきだるま)
晩冬の季語 雪達磨
雪を2つ丸めて、それぞれ頭と胴としたものを、重ねてダルマ型とする。木の枝などを使って目鼻もつける。海外にも同様のものがあり、日本語訳では「雪人」「雪男」「雪人形」などとされるが、日本のものと違って3段になっているものが普通である。
歌川広景の「江戸名所道戯尽」に雪達磨が描かれていることから、日本では、遅くとも江戸時代の終わりころには作られるようになっていた。俳諧歳時記栞草(1851年)にも、「兼三冬物」に分類されて「雪仏、雪布袋、雪達磨」が載る。それによると、新拾遺和歌集(1365年)の詞書の引用で「雪にて丈六のほとけをつくり奉りて、供養すとてよめる、云々」とある。該当するのは、釈教歌の部の瞻西上人の「いにしへの鶴の林のみゆきかと 思ひとくにそあはれなりける」の和歌の詞書である。これによると、中世の日本では、信仰の為に雪仏が作られていたと読める。ただ、俳諧歳時記栞草には「雪布袋、雪達磨、みな雪中の戯に作る也」ともあり、江戸時代後期には現代のように遊びの一環として作られていたことが分かる。
石川県白山市には、「雪だるま祭り」というものがある。
慣用句に「雪だるま式」があるが、これは、雪を転がしていくとどんどん大きくなっていくように、ものごとを進めていくにあたり、程度が激しくなっていく様をいう。
【雪達磨の俳句】
とるとしもあなた任せぞ雪仏 小林一茶
家々の灯るあはれや雪達磨 渡辺水巴




季語|白鳥(はくちょう)
晩冬の季語 白鳥
白鳥は、カモ科に属する。日本で見られるオオハクチョウやコハクチョウは、シベリアやオホーツク海沿岸で繁殖し、日本などで越冬する。コハクチョウの方が、オオハクチョウよりも列島を南下する傾向がある。公園の池で飼われている白鳥は、ヨーロッパに分布するコブハクチョウが持ち込まれたものである。
飛来地は、北海道から島根県にまで広がり、青森県の「小湊のハクチョウおよびその渡来地」は国の特別天然記念物になっている。また、新潟県の瓢湖は、白鳥の飛来によりラムサール条約に登録されている。10月から3月頃まで、その姿を見る事ができる。
古くは鵠(たづ・くぐい)と呼ばれ、古事記の垂仁天皇「本牟智和気の御子」の項に出てくる。本牟智和気は、ものを言わない御子であったが、鵠を見て初めて言葉を発したという。
また、倭建の命は亡くなった後に八尋白智鳥(やひろしろちとり)になって飛び立ったといわれ、その舞い降りた河内の国に、「白鳥の御陵」がつくられた。日本書紀では、その倭建の命の御子であった仲哀天皇が、陵の池に放つ白鳥を全国に求めた。その時、「白鳥なりといふとも、焼かば黒鳥になるべし」と言って白鳥を掠め取った蘆髪蒲見別王を、誅殺している。
万葉集には「しらとり」として2首が載るが、いずれも現代でいう白鳥を指したものではないようだ。
白鳥の飛羽山松の待ちつつぞ 我が恋ひわたるこの月ごろを 笠女郎
白鳥の鷺坂山の松蔭に 宿りて行かな夜も更けゆくを 柿本人麻呂
バレエにおいては、「白鳥の湖」がよく知られている。悪魔に白鳥にされてしまったオデットと、彼女に恋した王子の悲恋の物語である。
童話では、アンデルセンの「みにくいアヒルの子」がよく知られている。
因みに、不倫の恋を成就させようとゼウスが姿を変えたという「はくちょう座」は、夏の星座である。
【白鳥の俳句】
白鳥の音なく降りし水輪かな 上村占魚




季語|春隣(はるとなり・はるどなり)
季語|冬椿(ふゆつばき)
季語|雪女(ゆきおんな)
晩冬の季語 雪女
雪の妖怪で、「ユキムスメ」「ユキオンバ」「ユキオナゴ」などと呼ばれることも。「宗祇諸国物語」(西村市郎右衛門:1685年)には、宗祇の越後滞在時に雪女に遭遇したとの記述がある。その時の雪女は、背丈1丈(約3メートル)、二十歳たらずの色白の美女だったとのこと。春先に雪女はおかしいだろうと宗祇が言うと、花や木の葉が散り時に美しいのと同じようなものだとの返答を得た。
雪女の伝説は、日本各地に残り、いずれも哀調を帯びる。代表的なものには、氷柱が雪女になったというのがあり、嫁にした男が風呂に入れると消えてしまったという伝説がある。
また、雪女は人間の精気を奪うとも言われ、雪女の呼びかけに対して返事をしないと、谷底へ突き落されるとも、凍死させられるともいう。吹雪の晩に子供(雪ん子)を抱いて立つ雪女に子守を頼まれると、その子はどんどん重くなり、終いに雪に埋もれて凍死する。
小泉八雲の怪談「雪女」は、西多摩郡調布村の伝承をもとにしたもの。雪の晩に雪女に殺されなかった樵が、知らずに雪女と結婚し、その正体を知ってしまう物語である。
【中古】 耳なし芳一・雪女 八雲怪談傑作集 講談社青い鳥文庫/小泉八雲【作】,保永貞300円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可【ブックオフオンライン楽天市場店】
耳なし芳一・雪女 八雲怪談傑作集 新装版/小泉八雲/保永貞夫/黒井健【3000円以上770円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可講談社青い鳥文庫 66−4【bookfan 1号店 楽天市場店】
【中古】 耳なし芳一/雪女 八雲怪談傑作集 / 小泉 八雲, 小林 敏也, 保永 貞夫 / 講談社 [328円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送可能【メール便送料無料、通常24時間以内出荷】【もったいない本舗 楽天市場店】
【新品】耳なし芳一・雪女 八雲怪談傑作集 新装版 講談社 小泉八雲/作 保永貞夫/訳 黒770円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可【銀行振込不可】【ドラマ 本と中古スマホの販売買取】
DVD 名作ってこんなに面白い[本/雑誌] 3 耳なし芳一・雪女(小泉八雲)/怪談牡丹燈籠(三遊亭6160円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可【送料無料選択可】【ネオウィング 楽天市場店】
【送料無料】耳なし芳一・雪女 八雲怪談傑作集 新装版/小泉八雲/保永貞夫/黒井健770円(税込/送料込)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可講談社青い鳥文庫 66−4【bookfan 2号店 楽天市場店】
小泉八雲の怪談傑作選 / 小泉 八雲(2枚組オーディオブックCD) 97847759232691980円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可『雪女』 『ろくろ首』 『貉(むじな)』 『耳無芳一の話』の4作品を一挙にまとめて豪【ヨコレコ 楽天市場店】
【中古】 耳なし芳一/雪女 八雲怪談傑作集 / 小泉 八雲, 小林 敏也, 保永 貞夫 / 講談社 [328円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可【最短で翌日お届け。通常24時間以内出荷】【もったいない本舗 お急ぎ便店】
『中古』耳なし芳一・雪女—八雲怪談傑作集 (講談社 青い鳥文庫)5388円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可「初版発行日」1992/06/15 「著者」小泉 八雲 (著) 「出版社」講談社【KSC】
1 |