俳句

季語|追儺(ついな)

晩冬の季語 追儺

なやらひ・鬼やらひ(おにやらい)

追儺中国から伝わった、大晦日(旧暦12月30日)に邪気を祓う行事。「続日本紀」の慶雲3年(706年)の記述に「大儺」として現れるものが、国内での文献上は最も古い。
「追儺」とは、鬼を追い払うというような意味合いで、平安時代に日本独自につくられた言葉だと考えられている。元は宮中行事であったが、宮中行事としては廃れ、寺社での行事として発展し、民間では節分の豆撒などとして親しまれるようになっている。

【追儺の俳句】

山国の闇恐ろしき追儺かな  原石鼎

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季語|寒紅(かんべに)

晩冬の季語 寒紅

寒紅の俳句と季語寒中に作られた紅のこと。紅花を発酵してつくられる紅は、寒いほど鮮やかな色が出るという。よって、寒中につくられる紅は特別で、寒中の丑の日に買う紅を「丑紅(うしべに)」と呼んで、薬効などの神秘的な力があるとして珍重した。

【寒紅の俳句】

寒紅の濃き唇を開かざり  富安風生

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季語|雪見酒(ゆきみざけ)

晩冬の季語 雪見酒

雪見酒の俳句と季語雪を見ながら酒を飲むこと。「雪見の宴」は古くから日本にある風習で、「十訓抄」(1252年)には、白河院の雪見に「雪見酒」の記述が見られる。
雪を愛でながら盃を傾けるというのは、燗ができる日本酒ならではの特殊な楽しみ方で、昨今では、湯につかりながら雪見酒ができるということを売りにしている温泉旅館もある。

【雪見酒の俳句】

雪見酒一とくちふくむほがひかな  飯田蛇笏

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季語|寒造(かんづくり)

晩冬の季語 寒造

寒造の俳句と季語「寒造」とは、12月から2月頃に造られる日本酒の仕込み方法である。現在では、一年を通じて日本酒を醸造する「四季醸造」に相対する言葉として用いられることがある。
かつての酒は四季それぞれに造られ、冬場につくられるものを「寒酒」といった。貯蔵方法が改善され、日持ちする酒が造られ始める中で、1667年に伊丹で、「寒造り」が確立された。1673年には、酒の腐敗による米の無駄遣いなどを防止するために、幕府によって「寒造り令」が発令されて、酒造りは冬場に行われるものとなった。これは、農閑期を利用した杜氏集団が形成されることにつながったとも言われている。

【寒造の俳句】

奥深きその情けこそ寒づくり  西山宗因
並蔵はひびきの灘や寒作り  宝井其角

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季語|風花(かざはな)

晩冬の季語 風花

風花の俳句と季語晴天時に輝きながら降る雪をいう。また、降り積もった雪が風によって吹き飛ばされて輝く様を指すこともある。
ちなみに「雪」は「六花(りっか・ろっか)」ともいう。「風花」は、1802年の「新季寄」に立項されているが、好んで詠まれるようになったのは近代に入ってからである。

1947年に中村汀女によって創刊された俳句雑誌に「風花」があるが、2017年に「今日の花」に継承された。

【風花の俳句】

風花やかなしびふるき山の形  石橋秀野

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季語|潤目鰯(うるめいわし)

晩冬の季語 潤目鰯

うるめ

鰯の俳句と季語魚類ニシン目ニシン科に属するウルメイワシ。沿岸性の回遊魚で、赤身の青魚。同じニシン目ニシン科に属するマイワシなどのは秋の季語となるが、潤目鰯は産卵を控えた冬が旬で、冬の季語となる。
マイワシより大きく、大きな目が潤んでいるように見えるところから、「うるめ」と名付けられた。マイワシやカタクチイワシほどの漁獲量はなく、干物にされることが多い。

【潤目鰯の俳句】

潤目鰯の硬さご飯のあたたかさ  高沢良一

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季語|氷(こおり)

三冬の季語 

結氷(けっぴょう)厚氷(あつごおり)

氷の俳句と季語気温が氷点下(通常気圧で摂氏0度)まで下がると、氷ができる。一年で最も気温が下がるのはの頃であり、その頃に目にすることが多いため、「氷」は晩冬の季語となる。なお、「初氷」も季語となり、こちらは初冬の季語となる。また、「薄氷」は初春の季語である。
「夏氷」の季語もあるが、こちらは涼をとるために食す氷のこと。単に「氷」と言った場合は、大地が生み出す冬の自然現象に因るものである。
「氷」の読みには「こほり」と「ひ」があるが、古くは、「こほり」は水面に生じたものを指し、「ひ」は塊りのものを主に指した。蝉の翅のように薄いものは「蝉氷(せみごおり)」、川底などに綿のようにできるものを「綿氷(わたごおり)」、氷面が鏡のようになったものを「氷面鏡(ひもかがみ)」と言ったりする。

俳諧歳時記栞草(1851年)には、寒さで氷が音を立てる「氷の声」、氷が水を覆う様をいう「氷の衣」、固く凍り付いた様をいう「氷のくさび」、池に花のようにできた「氷の花」が載る。
万葉集には大原櫻井真人の

佐保川に凍りわたれる薄ら氷の 薄き心を我が思はなくに

や、詠み人知らずの

春立てば消ゆる氷の残りなく 君が心は我に解けなむ

などがある。
「氷」が使われた慣用句には、「氷山の一角」などがある。

よく知られた諏訪湖の「御神渡り」は、湖面が氷結して膨張した折に、大音響とともに氷の亀裂が走る現象で、諏訪大社上社の男神が下社の女神のもとへ通った跡だと言われている。
上の画像は「新形三十六怪撰 やとるへき水も氷にとぢられて今宵の月は空にこそあり 宗祇」(月岡芳年:国立国会図書館オンライン)。氷っているために、本来あるべき水月がなく、月の実体を疑う歌である。

【氷の俳句】

蝶墜ちて大音響の結氷期  富澤赤黄男
悪女たらむ氷ことごとく割り歩む  山田みづえ

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季語|雪達磨(ゆきだるま)

晩冬の季語 雪達磨

雪仏(ゆきぼとけ)

江戸名所道戯尽の雪達磨と季語雪を2つ丸めて、それぞれ頭と胴としたものを、重ねてダルマ型とする。木の枝などを使って目鼻もつける。海外にも同様のものがあり、日本語訳では「雪人」「雪男」「雪人形」などとされるが、日本のものと違って3段になっているものが普通である。

歌川広景の「江戸名所道戯尽」に雪達磨が描かれていることから、日本では、遅くとも江戸時代の終わりころには作られるようになっていた。俳諧歳時記栞草(1851年)にも、「兼三冬物」に分類されて「雪仏、雪布袋、雪達磨」が載る。それによると、新拾遺和歌集(1365年)の詞書の引用で「雪にて丈六のほとけをつくり奉りて、供養すとてよめる、云々」とある。該当するのは、釈教歌の部の瞻西上人の「いにしへの鶴の林のみゆきかと 思ひとくにそあはれなりける」の和歌の詞書である。これによると、中世の日本では、信仰の為に雪仏が作られていたと読める。ただ、俳諧歳時記栞草には「雪布袋、雪達磨、みな雪中の戯に作る也」ともあり、江戸時代後期には現代のように遊びの一環として作られていたことが分かる。

石川県白山市には、「雪だるま祭り」というものがある。
慣用句に「雪だるま式」があるが、これは、雪を転がしていくとどんどん大きくなっていくように、ものごとを進めていくにあたり、程度が激しくなっていく様をいう。

【雪達磨の俳句】

とるとしもあなた任せぞ雪仏  小林一茶
家々の灯るあはれや雪達磨  渡辺水巴

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季語|白鳥(はくちょう)

晩冬の季語 白鳥

大白鳥(おおはくちょう)

白鳥の俳句と季語白鳥は、カモ科に属する。日本で見られるオオハクチョウやコハクチョウは、シベリアやオホーツク海沿岸で繁殖し、日本などで越冬する。コハクチョウの方が、オオハクチョウよりも列島を南下する傾向がある。公園の池で飼われている白鳥は、ヨーロッパに分布するコブハクチョウが持ち込まれたものである。
飛来地は、北海道から島根県にまで広がり、青森県の「小湊のハクチョウおよびその渡来地」は国の特別天然記念物になっている。また、新潟県の瓢湖は、白鳥の飛来によりラムサール条約に登録されている。10月から3月頃まで、その姿を見る事ができる。

古くは鵠(たづ・くぐい)と呼ばれ、古事記の垂仁天皇「本牟智和気の御子」の項に出てくる。本牟智和気は、ものを言わない御子であったが、鵠を見て初めて言葉を発したという。
また、倭建の命は亡くなった後に八尋白智鳥(やひろしろちとり)になって飛び立ったといわれ、その舞い降りた河内の国に、「白鳥の御陵」がつくられた。日本書紀では、その倭建の命の御子であった仲哀天皇が、陵の池に放つ白鳥を全国に求めた。その時、「白鳥なりといふとも、焼かば黒鳥になるべし」と言って白鳥を掠め取った蘆髪蒲見別王を、誅殺している。
万葉集には「しらとり」として2首が載るが、いずれも現代でいう白鳥を指したものではないようだ。

白鳥の飛羽山松の待ちつつぞ 我が恋ひわたるこの月ごろを  笠女郎
白鳥の鷺坂山の松蔭に 宿りて行かな夜も更けゆくを  柿本人麻呂

バレエにおいては、「白鳥の湖」がよく知られている。悪魔に白鳥にされてしまったオデットと、彼女に恋した王子の悲恋の物語である。
童話では、アンデルセンの「みにくいアヒルの子」がよく知られている。
因みに、不倫の恋を成就させようとゼウスが姿を変えたという「はくちょう座」は、夏の星座である。

【白鳥の俳句】

白鳥の音なく降りし水輪かな  上村占魚

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季語|春隣(はるとなり・はるどなり)

晩冬の季語 春隣

春近し(はるちかし)

季語と俳句春隣晩冬には、春の気配を感じて嬉しくなることがある。古今和歌集に、清原深養父の歌で、

冬ながら春の隣の近ければ 中垣よりぞ花はちりける

がある。

【春隣の俳句】

叱られて目をつぶる猫春隣  久保田万太郎
白き巨船きたれり春も遠からず  大野林火

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