寒鯉(かんごい)

晩冬の季語 寒鯉

凍鯉(いてごい)

季語鯉は、中央アジア原産。日本の鯉は、史前帰化動物として古くから定着していたと考えられているが、琵琶湖などに棲むノゴイなどは日本列島在来種であるとも言われている。日本書紀景行天皇四年の美濃への御幸の条に、「鯉魚」を使って恋心を成就しようとした話があるが、このことから「鯉」を「コイ」と言うようになったという説もある。同時期に編集された万葉集に「鯉」は出てこない。
鯉の寿命は長く、70年に及ぶことも。国際自然保護連合では、世界の侵略的外来種ワースト100に選定し、生態系を乱し水質を悪化させる生物と見なしている。滝を登った鯉は龍になると言われ、そこから登龍門という言葉が生まれたが、実際には鯉は滝を登らない。冬場の鯉は、水底で動きも緩慢。

寒中の鯉は美味とされ、慶事・祝事の席などでもふるまわれてきた。中国や欧州でも古くから食材として利用されてきた。

寒鯉に力満ちきて動かざる  中嶋秀子



水仙(すいせん)

晩冬の季語 水仙

雪中花(せっちゅうか)

季語ヒガンバナ科。地中海沿岸が原産で、中国(唐)を経由して渡来したと考えられている。福井の越前海岸をはじめ、水仙の名所が海辺に多いのは、海流に乗って漂着したものが自生したものと考えられる。「水仙」としての初出は、「下学集」(1444年)か。

ギリシャ神話には、自らの容姿に惚れたナルキッソスが、女神ネメシスにより水仙に変えられたという話があり、ナルシストの語源ともなった。「スイセン」という名は、中国での呼び名「水仙」を音読みしたもので、「水辺に咲く仙境の花」の意。欧米では「希望」の象徴とされる。

水仙の花のみだれや藪屋敷  広瀬惟然



臘梅(ろうばい)

晩冬の季語 臘梅

季語クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属に属する中国原産の落葉樹。バラ目バラ科のウメとは別種。古くはカラウメと呼び、中国(唐)から来たという意味である。日本には、江戸時代初期に渡来したと考えられている。中国での呼び名「臘梅(ラーメイ)」が日本名のもとになったと考えられるが、これは、1月頃に咲く花が蝋細工ににているところから来ているとも、臘月(旧暦12月)に花を咲かせるところから来ているとも言われている。中国では、ウメ・ツバキ・スイセンとともに「雪中の四花」とされる。匂いが良い。

臘梅を無口の花と想ひけり  山田みづえ



寒(かん)

晩冬の季語 

寒の入(かんのいり)大寒(だいかん)

季語1月5日ころの二十四節気の小寒が、寒の入に当たる。この日から節分までを寒という。大寒は二十四節気の第24で、一年で最も寒さが厳しいとされる1月20日ころ。

約束の寒の土筆を煮て下さい  川端茅舎
大寒の一戸もかくれなき故郷  飯田龍太



寒梅(かんばい)

晩冬の季語 寒梅

早梅(そうばい)冬の梅(ふゆのうめ)

季語梅の花は春、実は夏の季語になる。万葉の昔から親しまれてきた花である。

▶ 関連季語 梅(春)

わが胸にすむ人ひとり冬の梅  久保田万太郎



雪(ゆき)

晩冬の季語 

吹雪(ふぶき)雪しまき(ゆきしまき)深雪(しんせつ・みゆき)・六花(ろっか)

季語雪の結晶は、六角形を基本とし、様々な形状がある。温度が比較的高いと、平らな六角形の「角板」。温度が低くて湿度が低いと、柱状の六角形の「角柱」。温度が低くて湿度が高いと「針」となる。「初雪」は初冬の季語、「淡雪」「牡丹雪」は春の季語となる。
古くから、雪を見て豊穣を占い、大雪は豊作になると言われてきた。このことから、雪は神聖なものとしてとらえられ、物忌みを意味する「斎潔(ゆきよし)」に雪の語源があるといわれる。万葉集には、 山部赤人の有名な和歌

田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける

など、155首の歌を載せる。

酒のめばいとど寝られぬ夜の雪  松尾芭蕉
これがまあ終のすみかか雪五尺  小林一茶
いくたびも雪の深さをたずねけり  正岡子規
降る雪や明治は遠くなりにけり  中村草田男